引き出物につける「のし」の選び方と書き方のマナー
結婚式の引き出物は、「新郎新婦の両家がお祝いに来てくれたゲストに対し、感謝の心をこめた記念品として贈る」という意味を持つ、とても大切なものです。
だからこそ、引き出物は「ゲストが喜んでくれるものを、失礼のない形で」渡せるようにしたいもの。
そのためには品選び以外にもゲストに失礼のないように、引き出物に使う「のし(熨斗)をどうするか」など、マナーにも気を配る必要があります。
引き出物に使うのしの基本マナーや、自分で作るときに役に立つ無料テンプレートサイトなどの情報を集めてみました。
この記事のポイント!
- 引き出物に使うのしを、失礼のないように作りたい・選びたいカップル向け
- 引き出物ののしの選び方や書き方の基本マナーがわかる
- のし紙を自分で作成できるテンプレートが学べる
引き出物にのし(熨斗)は必要?つける意味
引き出物は「ゲストに対する両家からの贈り物」という意味があります。
どこから(誰から)の贈り物なのかをきちんと示すためにも、引き出物にはのしをつけることは必要!とするのが一般的。
結婚式自体の考え方も多様化して、結婚パーティーのようなカジュアルな式を準備している方の中には「引き出物ののしは、なしでもいい」と考える人もいるでしょう。
ですがゲストの年齢層や考えはバラバラです。
新郎新婦が「のしは必要ない」と判断しても、まわりから非常識だな…と思われないためにも、やはり引き出物にはきちんと、のしをつけておきましょう。
そもそも「のし」とは?
熨斗(のし)とは、本来は「熨斗アワビ(アワビを薄く切って、のして乾かしたもの)」のことで、右上にある飾りのことを指します。
ただ日常的には、熨斗が付いた紙のことを「のし」「のし紙」と呼んでいますね。
品物そのままで渡すよりも「改まった気持ち」を伝えるための手段として利用されているので、結婚式などの慶事のほか、弔辞やお見舞いなどで贈り物をするときに使います。
デパートなどで買い物をしたときに「のしを付けますか?」などと聞かれたことのある人も多いはず!
のしの「水引」とは、横に引かれた飾りのひものこと。「結びきり」「蝶結び」などの種類があり、シーンによって使い分けます。
のしの「表書き」とは、水引の上部に書く言葉(「寿」「お見舞い」「お中元」など)と送り主の名前のことを指します。
結婚後は旦那さん(奥さん)の親族や仕事関係の人とのコミュニケーションも増えます。大人として「のし」の使い方だけは知っておいて損はないはず!
のしの名前は、両家の苗字を左右に連名で!入籍済みでも旧姓でOK
引き出物は「両家からの贈り物」という意味がありますので、両家の苗字を左右に連名で入れるのが基本的なマナーとなっています。
近年では「新郎の姓名と新婦の名前」や「新郎新婦の名前のみ」をのしに入れるケースも増えてきていますが、「昔ながらの基本は両家の苗字の記載」であるということは覚えておきましょう。
基本的には、「新郎の家が右側、新婦の家が左側」という形での名入れとなります。
のしの名入れで気になる点と言えばもうひとつ!すでに婚姻届を提出していて「入籍済みの場合は苗字をどうするのか」という点。
引き出物の基本の意味は「両家からの贈り物」ですから、すでに入籍済みでも、引き出物の名入れは旧姓でOKです。
ミニコラム
引き菓子ののしには、新郎新婦の下の名前を入れる
引き出物が「両家からの贈り物」という意味を持つのに対して、引き菓子は「新郎新婦からゲストとその家族に対するお土産、しあわせのおすそわけ」という意味があります。
引菓子につけるのしは、新郎新婦の下の名前を入れる、というのが基本スタイルとなります。
ただ近年では「引き出物にのしをつけているのだから、引菓子にまでのしをつける必要もない」と考えるケースも。
両家の話し合いで、引菓子にまでのしをつける必要は特にない、と理解・合意が得られれば、のしはつけない状態でもOKです。
引き出物につける「のし」の表書きや水引の選び方
結婚式だけでなく、法要でも使われる熨斗。
表書きや水引にもいろいろな種類があるので、きちんと選ばないとマナー違反になってしまいます!
結婚式の引き出物には、どんなのしを付けたらいいのか解説します。
引き出物なら、のしの表書きは「寿」がベスト
引き出物の、のしの表書きは「寿」と入れましょう。
「記念品」「内祝」なども引き出物に使えそうな言葉に思えますが、記念品というのはあまりに一般的すぎる言葉。
内祝は「結婚式に来られなかったものの、お祝いを下さった方に対するお礼の内祝い品」の表書きとして使う言葉です。
水引(みずひき)は、紅白の結びきりにしよう
水引は、紅白の結び切り、さらに「水引の本数が10本のもの」を選ぶのがベストです。
水引の色は紅白だけでなく金銀を選ぶ人もいますが、やはり紅白が主流。
そして結びは絶対に、ほどけることのない「結び切り」のものを選びましょう。
簡単にほどけてしまう蝶結びタイプは、「別れ」を連想させるので選んではいけません。
また水引の本数は10本のものを選ぶのがマナーとなっています。
「慶事の水切りは奇数本数がいい」というのが基本となっていますが、引き出物など婚礼に関するものの水引はちょっと特別。
これは10本をひとつの偶数と考えず、5本×2束という形で奇数と解釈され、「両家が手を結びあう様子を表している」という意味を持つとも言われています。
引き出物につけるのは「外のし」?「内のし」?
それでは、引き出物ののしを、内のし・外のしのどちらにするべきかを見ていきましょう。
- 内のし:品物そのものに熨斗をかけて、その上から包装紙でつつむ
- 外のし:包装紙の上から熨斗をかける
昔からの基本的な考え方としては「贈答品を手渡しする際は、のしがハッキリ見えた方がいい」ということで、引き出物には外のしが適していると言われてきました。
しかし外のしには「ちょっとしたことで破けてしまいやすい」という弱点もあるため、近年では引き出物であっても、内のしを利用するケースも。
ゲストの事を考えて「昔ながらの考え方を重んじる傾向が強い」なら外のしにした方が無難ですが、そうでなければ内でも外でもどちらでも構わないでしょう。
また、外のしと内のしの使い分けは、住んでいる地域によっても左右されます。
関東では外のし、関西では内のしが好まれるという傾向があります。
そうした地域色が強いところでは、家族や近居の親族に、内か外、どちらののしを選んだ方がいいのか相談してみるのもひとつです。
引き出物が複数の場合、メインの引き出物にのしをつければOK
引き出物の数は、縁起物や引き菓子を含めて2~3品程度が一般的です。
すべての品物にのしをつけるべきなのか?というと…基本的には、メインの引き出物(および引き菓子)にのしをつけていれば大丈夫です。
たとえば引き出物がカタログギフト、引き菓子がバウムクーヘン、縁起物が紅茶だった場合。
引き菓子のバウムクーヘンにだけのしをかけて、その他の引き出物には、包装紙やリボンなどでラッピングをしておけばOK。
縁起物の定番、鰹節には「のし」をつけない!?
のしは古くから「生もの以外の贈答品につける」というしきたりがあります。
なぜなら、本来「のし」というのは、のし紙全体を指すのではなく、右上にある飾り=熨斗鮑(のしあわび)のことを指すのです。
元々はあわびを薄く切って、それをのして干したものを、生もの以外を包装したものの右肩につけ、神様に「生ものを添えました」という意味を伝えるものでした。
ですから縁起物として鰹節などを入れる場合、鰹節自体が生ものと解釈されるため、これにさらに「生ものを装うため」の、のしをつける必要はないというわけです。
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引き出物ののし紙作成に使える、オススメ無料テンプレート
引き出物や引き菓子にのしを付けたいけど、お店では用意がないと言われてしまった…。
と言った場合、自分でのしを簡単に作ることができますよ!
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のしに手書きで字を書きたくない人におすすめ。商用利用は不可となっています。
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まとめ
- 引き出物ののしは、基本的には必要なマナー
- 外熨斗が無難だが、関東・関西で好みがわかれる
- 引き出物すべてに着ける必要はなし。メインの引き出物につければOK
- のしの表書きは寿、水引は紅白結び切り10本がベスト
- 名入れは「新郎の家が右側、新婦の家が左側」が基本
- 引き菓子ののしは、新郎新婦の名前を入れる
ぜひ、この記事の情報を参考にして、引き出物という「感謝・お礼の心をこめた贈り物」に、のしという「伝統的かつすてきな華」を添えましょう。