【社会保険・税金】結婚退職後に必要な手続きまとめ
寿退社をする時に忘れてはならないのが、社会保険や税金の手続き。
これまで税金や保険料が給与から天引きされていましたが、退職後はどうなるかが気になりますね。
退職したら自分はどの保険に加入すべきか・税金はどうなるのかをきちんと把握しておく必要があります。
退職後のライフスタイル別に、必要な社会保険や税金の手続きを解説します。
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【社会保険・税金】寿退社後何をいつまでに手続きする?
日本では誰もが保険に入る、国民皆保険制度をとっています。
また仕事をして収入を得るなら、相当の税金を払う義務も発生します。
在職中は勤務先が、社会保険(年金・健康保険)や税金を納付する手続きをやってくれていました。
けれども退職するとなると、社会保険や税金に関して自分で手続きをする必要が出てきます。
しかも、退職後の身の振り方によってやるべきことが違うので注意が必要。
寿退社後、社会保険や税金に関して必要な手続きを、パターン別に説明します。
【寿退社後の手続き】1.専業主婦になる(扶養に入る)
夫の会社に必要書類を提出して扶養に入れば、妻は社会保険(年金・健康保険)の面で優遇されます。
一方税金に関しては、未納分の住民税を納めたり、払い過ぎた所得税をとり戻す手続きを妻が自分でやる必要があります。
年金&健康保険
- いつ:退職日の翌日から5日以内
- どこで:夫の会社の健康保険組合(ない場合は社会保険事務所)
- 必要書類:夫(妻)の会社既定の書類(健康保険被扶養者届(異動届)、国民年金第3号被保険者関係届など)、印鑑(新姓)、マイナンバーもしくは年金手帳(基礎年金番号)、源泉徴収票(確定申告時のみ)
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夫の扶養に入ると、妻は自分の健康保険料を払わなくても保険が適用され、医療費が安くなります。
夫の扶養に入ると同時に国民年金にも加入するのですが、この保険料も発生しません。
税金(住民税)
住民税は、1月から12月までの1年間の所得に対して決められた額を、翌年6月から翌々年の5月までに「後払い」で納めるシステム。
在職中は給与天引きで住民税を納税していました。
退職後は在職中の所得に対して発生した未払い分を、自分で納めなければなりません。
納税方法は退職の時期によって異なります。
- 6~12月に退職した場合
- 1~5月に退職した場合
6~12月に退職した場合
退職する前年の所得に対して発生した税額のうちの未払い分を、退職時にまとめて払うか、分割で払うかを決めます。
まとめて払う場合は、最後の給与や退職金から天引きにすることも可能。
分割の場合は、後日自治体から送られてくる「納税通知書」を使って自分で支払います。
1~5月に退職した場合
前々年の所得に対して払うべき住民税のうち、未払い分を退職時に一括で支払います。
もし寿転職で、6月1日付で再就職している場合、前年分の住民税は転職先企業の給与から天引きされます。
そうでない場合は、後日自治体から送付される「納税通知書」を使って自分で支払います。
税金(所得税)
妻の所得税
所得税はあらかじめ1年の総収入を想定し、それを12で割った額を、毎月の給与から天引きする仕組みになっています。
そのため退職後に1ヶ月以上の給与をもらっていない期間がある場合は、所得税を多く払い過ぎていることになります。
本来納めるべき税額と、実際に収めた税金のズレを修正するのが、年末調整です。
でも退職して年末調整を受けることができない場合は、翌年の確定申告の期間に自分で手続きをして、払い過ぎた税金を取り戻します。
- いつ:確定申告の期間中(2月中旬~3月中旬)
- どこで:居住地を管轄する税務署
- 必要書類:確定申告書、源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、社会保険料などの控除証明書
夫の所得税
夫の収入が年1,000万円未満で、妻の年収が103万円以下なら、配偶者控除が適用されるので、夫の税金が安くなります。
夫が配偶者控除を受ける場合、夫の会社の年末調整の時期に「配偶者控除等申告書」を提出します。
【寿退社後の手続き】2.再就職して共働きをする(転職)
- いつ:転職後すぐ
- とこで:転職先の総務部門
- 必要書類:雇用保険被保険者証、源泉徴収票、年金手帳
寿退社後、月をまたがずに再就職する場合、社会保険や税金納付の手続きは、転職先の企業がやってくれます。
前に勤めていた会社で受け取ったものを提出するので、なくさないように保管して。
再就職するまでに月をまたいでしまう場合は、以下の3と同様の手続きが必要になります。
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【寿退社後の手続き】3.失業保険の手続きをして再就職先を探す
失業手当(失業給付金)をもらっている間は、基本的に夫の扶養には入ることができません。
自分自身で以下の手続きをする必要があります。
年金
失業手当(失業給付金)をもらっている期間は、国民年金に加入します。
ただ加入する時期によって、支払う保険料の金額に違いが出るので注意が必要。
というのは一般的に、在職中に払っていた厚生年金と国民年金では、保険料が違うからです。
厚生年金や国民年金の保険料は、月単位で計算し、月の末日に加入しているところに支払う仕組みになっています。
また勤めていた会社の厚生年金の被保険者資格を喪失するのは、「退職した日の翌日」と決まっています。
もし「5月途中」で退職した場合は、4月分まで会社の厚生年金保険料を納め、5月分から国民年金の保険料を払わなければなりません。
一方「5月末日」に退職する場合は、6月1日が資格喪失日となるので、厚生年金保険料は5月分まで納め、国民年金の保険料は6月分から支払います。
自分の国民年金と厚生年金の保険料を比べて、大きく違い出る場合は、退職時期を考慮したほうがいいでしょう。
- いつ:退職翌日から14日以内
- どこで:現住所のある役所
- 必要書類:健康保険被保険者資格喪失証明書・退職証明書・離職票など、マイナンバー(世帯主と本人)、本人確認書類、印鑑(新姓)
健康保険(任意継続)
今まで加入していた健康保険の「任意継続被保険者制度」を利用することが可能です。
任意継続被保険者制度とは、退職後も在職中と同じ健康保険を継続することができる制度のこと。
保険料は、在職中の給料に基づく標準報酬月額で決定されます。
ただ在職中は会社と折半していた保険料が、任意継続する場合は全額負担になるので、自己負担額は実質2倍に。
この制度を利用する場合、再就職などの理由以外で、2年間は継続をやめることができません。
- いつ:退職後20日以内
- どこで:健康保険組合事務所もしくは居住地を管轄する全国健康保険協会全国健康保険協会の都道府県支部
- 必要書類:健康保険任意継続被保険者資格取得申請書、健康保険被保険者資格喪失証明書または離職票、年金手帳、印鑑(新姓)
健康保険(国民健康保険)
国民健康保険に加入する時は、現住所のある役所に出向き、自分で手続きをします。
なお国民健康保険の保険料は、各自治体が決定します。
税金(所得税)※年内に転職
(※住民税については、1の専業主婦になった場合と同様です。ここでは所得税について解説します。)
寿退社した年内に転職した場合と、しなかった場合で手続きが変わってきます。
年内に転職しなかった場合の所得税の手続きは、税金(所得税)の項と同様です。
年内に転職した場合は、転職先の会社に必要書類を提出すれば、年末調整をしてくれます。
もし12月に転職が決まったけれど年末調整に間に合わなかった場合は、自分で確定申告をすれば、払い過ぎた所得税は戻ってきます。
- いつまで:転職後すぐ
- どこで:転職先の総務部門
- 必要書類:社会保険料などの控除証明書、前職の源泉徴収票
【寿退社後の手続き】4. 引っ越しする場合
夫の転勤に伴い、引っ越しが必要で、寿退社するケースも多くありますよね。
この場合、自分で住所変更の手続きをする必要がある場合も。
社会保険
夫の扶養に入っている、もしくはすでに再就職(転職)している場合、勤務先に住所変更届をだせば手続きをしてもらえます。
ただ以下の場合は、自分で住所変更の手続きが必要。
- 国民年金に加入している
- 国民健康保険に加入している
- 健康保険の任意継続被保険者制度を利用している
国民年金に加入している
- いつ:引越後14日以内
- どこで:転居先の役所
- 必要書類:国民年金手帳、印鑑(新姓)
国民健康保険に加入している
1. 引っ越し前に国民健康保険の資格喪失手続きをする
- いつ:引越後14日以内(引っ越す前から手続き可能)
- どこで:引越し前の役所
- 必要書類:国民健康保険証、印鑑(新姓)
2. 転居先で国民健康保険の加入の手続きをする
- いつ:引越後14日以内
- どこで:転居先の役所
- 必要書類:本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)、転出証明書、印鑑(新姓)
健康保険の任意継続被保険者制度を利用している
- いつ:引越し後すみやかに
- どこで:引っ越し先の健康保険組合
- 必要書類:住所変更届(書式は組合により異なります)
健康保険の任意継続の場合、納期までに保険料を納めないと、資格を喪失してしまいます。
保険料の納付書が旧住所に送付されないように、早めに手続きしましょう。
税金(所得税)
確定申告が必要な場合は、引っ越し先住所を管轄する税務署に行って手続きをします。
税金(住民税)
以前住んでいた自治体から引っ越し先に納税通知書が届きます。
これは単に引っ越しにともなって住民票を動かしたから届けられただけであって、旧住所と新住所の自治体から、二重に請求が届くことはありません。
【退職と入籍のタイミング】社会保険・税金手続きは何が違う?
寿退社をする時って、入籍と退職の順序で迷いますよね。
社会保険や税金の手続きを考えた時、入籍と退職はどの順序でやるとメリットがあるのでしょうか?
退職後、夫の扶養に入るとわかっていたら、「入籍後退職」のパターンの方が手続き自体は楽。
退職前に入籍すれば、会社が社会保険や税金の氏名変更手続きは会社がしてくれますが、退職後入籍する場合は、加入手続きや氏名変更を自分自身でやる場合もあります。
タイミングと手続きについては、こちらで解説中↓↓
【退職と入籍のタイミング】夫の扶養に入るタイミングはいつ?保険料がお得な順番
入籍して専業主婦になるなら、すぐに夫の扶養に入るのがベストな選択。
扶養に入る場合、妻の退職日の翌日から5日以内に手続きをする決まりになっています。
できれば月をまたがず、すぐに扶養手続き済ませるのが理想的。
というのは、保険料は月末に加入しているところで発生するから。
もし5月半ばで退職した場合、4月分までの保険料が妻の給料から引かれます。
5月中に入籍してすぐに夫の扶養に入れば、5月末は夫の会社の厚生年金および健康保険組合に加入していることになるので、妻の分の保険料はかかりません。
でも入籍が6月になると、5月分の妻の保険料が発生することになるのです。
したがって、扶養手続きは「すぐに」行った方がお得です。
ポイントは、退職した月の末日の時点で、妻が夫の扶養に入っていることです。
- 入籍後退職:退職後すぐに
- 退職後入籍:入籍後すぐに
寿退社する時でも有給休暇を消化できる?
会社は社員の有給休暇申請を拒否することはできないため、寿退社であっても、制度上は有休をすべて取得することができます。
ただし、退職するからといって自分勝手な休み方をしてしまうのは、社会人としてマナー違反。
退職手続きと後任への引き継ぎをしっかりしたうえで、有給をとるのが円満退職のコツです。
退職時に会社からもらう書類リスト(一覧)
寿退社後にどんな道を歩むにしても、勤めていた会社からもらう書類が必要。
もらい忘れがあって退職後も前の会社に足を運ぶなんてことがないように、しっかり確認を。
- 退職証明書(夫の扶養に入る時に必要)
- 離職票(転職先が決まっている場合は必要なし)
- 源泉徴収票(確定申告の際に必要)
- 健康保険被保険者資格喪失証明書(国民健康保険に加入する時に必要)
- 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書(もとの会社の健康保険を、任意継続する時に必要)
- 年金手帳 ※会社で保管するケースと、自分で保管しているケースと会社によってことなります
まとめ
- 退職後の社会保険や税金の手続きは、扶養に入るか、転職するなどで異なる
- 退職した後も住民税は払わなければならない
- 退職後、確定申告すれば、払い過ぎた税金がかえってくることも
- 夫の扶養に入るなら入籍後すぐ
保険や税金の手続きって、なんとなく敬遠しがちなもの。
でも暮らしていくには必要なものだし、家計にも関係してくるので、1つひとつしっかりこなしていきましょう。