寿退社をするタイミングはいつがいい?ベストな退職時期
寿退社をすることが決まったら、次に考えるのは「いつ辞めるか」。
入籍と退職の順序だけでなく、退職日をいつ頃にするかも決めなければなりません。
また退職には、社会保険や税金についての切り替え手続きも必要。
各種手続きや職場の状況を考えたうえ、どのタイミングでやめるべきか、いつ上司に報告すべきかを提案します。
寿退社をするなら、入籍と退職の順番を考えよう!
寿退社する場合、入籍・退職の順番によって手続きにどんな違いがでるかをまとめました。
それぞれのメリットやデメリットを考えたうえで、どの順番で進めるかを決めてくださいね。
- 退職後に入籍し、転職しない
- 退職後に入籍し、転職する
- 入籍後に退職し、転職しない
- 入籍後に退職し、転職する
- 有給休暇消化中に入籍する(有休消化後そのまま退職)
1.退職後に入籍し、転職しない
- メリット:在職中に氏名が変わらずにすむ
- デメリット: 退職時にもらう書類(離職票など)は旧姓。入籍後、氏名変更の手続きが必要。
- 必要な手続き:扶養の申請もしくは年金・健康保険の切り替え、確定申告
- 向いている人:今の職場に結構を言いたくない人
2.退職後に入籍し、転職する
- メリット:気分一新してから新しい道に進める
- デメリット:転職先が決まるまで収入が減る、自分で年金・健康保険の加入手続きをする
- 必要な手続き:退職手続き、失業保険受給手続き、年金・健康保険の加入、確定申告(年内に転職先が決まらなかった場合)
- 向いている人:リセットしてから転職先を探したい人
3.入籍後に退職し、転職しない
- メリット:退職後の手続きが楽(年金・健康保険の氏名変更は会社がやってくれる)
- デメリット:在職中に氏名が変わるのが嫌であればデメリット
- 必要な手続き:会社に入籍したことを届け出る、退職手続き、扶養の申請もしくは年金・健康保険の切り替え、確定申告
- 向いている人:今の職場に結婚を言いたい人
4.入籍後に退職し、転職する
- メリット:すぐに転職すれば給与収入が途切れない、年金・健康保険の氏名変更は転職先がやってくれる
- デメリット:在職中に氏名が変わる
- 必要な手続き:会社に入籍を届ける、退職手続き、転職先に必要書類を提出
- 向いている人:結婚後の家庭の事情に合わせて働きたい人
5.有給休暇消化中に入籍する(有休消化後そのまま退職)
- メリット:名前が変ることを、周りに告知する必要がない。
- デメリット:人事部への説明が、若干面倒
- 必要な手続き:会社に入籍したことを届け出る、退職手続き、扶養の申請もしくは年金・健康保険の切り替え、確定申告*
- 向いている人:今の職場のみんなに面と向かって結構を伝えたくない人
*年内に転職する場合は、新しい会社で年末調整をしてもらえば、確定申告は不要
注意.退職願(届)は、就業規則を確認
当たり前ですが、退職の意思を会社に伝える退職願いは、退職しようと思っている日よりも前に願いでる必要があります。
1ヶ月前までに提出することになっているケースが多いですが、会社によって異なります。就業規則を確認しましょう。
「1ヶ月前までに届け出る」の意味は、おそくとも1ヶ月前までにという意味ですので、引継ぎ等も考えればもっと早く、できれば3ヶ月前くらいには、上司に相談するようにしましょう。
退職後は、今の職場の人間と付き合う気がないから関係ないと考える方もおられるようですが、どこでどう繋がるかわかりません。立つ鳥跡を濁さずです。
余裕をもって相談をし、引継ぎをきちんと行いましょう。
寿退社に必要な手続き
すぐに転職する場合
在職中は、会社の健康保険や厚生年金に加入し、給与から天引きで保険料や税金を納めていました。
すぐに転職する場合は、新しい会社で手続きを行いますので、あまり悩む必要はありません。
新しい会社に、以下のものを呈示すれば、手続きしてもらえます。
- 源泉徴収票 ※元の職場で発行してもらいます
- 雇用保険被保険者票 ※元の職場でもらいます
- マイナンバーカード
すぐに転職しない場合は、退職後の社会保険(健康保険と年金)に関しては、自分で選択して手続きをすることになります。
健康保険(保険証)と年金
退職後すぐに転職する場合は、上述のとおり転職先の健康保険や厚生年金に加入します。
専業主婦になる場合や、しばらくしてから再就職する場合は、以下の選択肢から選ぶことになります。
【健康保険(保険証)】
- 夫の扶養に入る ※夫の会社に申請を出す
- 国民健康保険に加入する ※市役所で手続き
- それまで勤めていた職場の健康保険を、任意継続する ※退職時に、任意継続する旨を会社に申告する
【年金】
- 夫の扶養に入る ※夫の会社に申請を出す
- 国民年金に加入する ※市役所で手続き(夫がサラリーマンでない場合や、失業保険を受給する場合)
住民税の支払い
住民税は、「後払い」方式なので、退職後に自分自身で払う必要があります。
1月~12月までの、1年間の所得に対して決められた額を、翌年6月から翌々年の5月までに「後払い」で納める仕組みになっているのです。
在職中は給与天引きで納税していましたが、退職後は自分で納めなければなりません。
退職後しばらくすると、お住まいの市区町村から納付書が送られてきますので、コンビニなどで支払います。
所得税の確定申告
すぐに転職する場合は、新しい方の会社で年末調整をしてもらえますので、通常、確定申告は不要です。
源泉徴収票は、新しい会社の方に提出します。
年内に転職しない場合は、自分で確定申告をします。
年の途中で退職すると、所得税を払い過ぎていることがあります。
払い過ぎた分は、退職した翌年の確定申告の期間に、自分で手続きをして返してもらいます。
なお確定申告はしなければ、多く払った税金が戻ってこないだけです。
年収が多い、副収入があるなど、確定申告がマストの場合は、必ずしないといけません。
確定申告には、職場の源泉徴収票が必要なので、辞めるときにもらうのを忘れないようにしましょう。
失業保険の手続き(ハローワーク)
寿退社でも、一定の条件をクリアすれば失業保険を受け取れます。
退職した時点で働く意志があるのに、次の転職先が決まっていない場合は、ハローワークで失業保険の受給手続きを行いましょう。
なお失業保険の受給中は、夫の扶養に入ることはできません。
自分で国民年金や国民健康保険の、加入手続きをすることが必要です。
税金やボーナスで得する!?結婚で仕事を辞めるベストな時期
ボーナスをもらった後や月末など、やめる時期によってはメリットがある場合も。
職場の状況もあわせて考慮して、退職する時期を決めましょう。
- 年末に辞める
- 月の途中で辞める
- 月末に辞める(月の最終日)
- 夏と冬のボーナスをもらってから辞める
1.年末に辞める
年末(12/31)に退職する場合、元の会社で年末調整を行います。
年末調整とは、本来支払うべき税金と、実際に払っている税金のズレを調整するもの。
年末調整を行う前に会社を辞めてしまうと、払い過ぎた税金があっても、返してもらうことができません。(※全員が調整対象になるわけではない)
払い過ぎた分を取り戻すには、翌年に自分で税務署にいって、確定申告をする必要があります。
確定申告は慣れないと大変な作業です。税金処理の手間をかけたくないなら、年末の退社が楽です。
なお転職する場合は、新しい会社の方で年末調整を行いますので、確定申告を気にする必要はありません。
ただ、最近は「ふるさと納税」を利用したり、株やideco,NISAをやっている人も多く、自分で確定申告をするのも当たり前になってきていますので、退職に年末を意識する意味はあまりありません。
2.月の途中で辞める
退職後、夫の扶養に入るなら、月途中で会社を辞めるのがポイントです。
その理由は、社会保険(健康保険や厚生年金など)の保険料について。
3.月末に辞める(月の最終日)
月末日に退職する場合、社会保険(健康保険や厚生年金など)の保険料について注意することがあります。
まず前提として、会社に属していた人が退職すると、これまでの社会保険の資格が失われます。(=資格喪失)
社会保険の資格喪失日は、退職した日の翌日となります。
- 5月30日に退職→5月31日が資格喪失日
- 5月31日に退職→6月1日が資格喪失日
そして、社会保険料は「社会保険の資格喪失日」がある1ヶ月の分を支払う(お給料から天引き・控除)仕組みです。
- 5月30日に退職→5月31日が資格喪失日⇒5月分の保険料を支払う
- 5月31日に退職→6月1日が資格喪失日⇒6月分の保険料を支払う
この2つのパターンで、退職時期を見てきましょう。
- 退職後、夫の扶養に入る
- 退職後、国民年金や国民健康保険に加入する
3-1.退職後、夫の扶養に入る
社会保険料は、月末に「どこの保険に加入しているか」で決まります。
「月末の1日前まで」に退職して、扶養の手続きを完了すれば、その月の妻の保険料は実質かかりません。(※)
※夫の扶養に入る手続きは、妻が退職してから5日以内と決められています。
3-2.退職後、国民年金や国民健康保険に加入する
退職後に国民年金や国民健康保険に加入するなら、やめるタイミングは「月末」。
たとえば、5月20日に会社を辞めるとしたら、5月末の時点では国民年金・国民健康保険に加入していることになります。
ここで注意したいのが保険料。
国民年金や国民健康保険料は、会社員として払う社会保険料より高いのです。
ですから、5月末で退職して、5月分は会社員としての保険料を払うほうが得になります。
4.夏と冬のボーナスをもらってから辞める
「退職するのにボーナスもらっていいのかな?」と躊躇する必要はありません。
ボーナスは、それまで働いたことに対する報酬なので、もらうことを想定して退職スケジュールをたててもOK。
寿退社の時期を決めたら、いつまでに職場に言うべき?
結婚退職が決まったら、会社に報告しなければなりません。
タイミングや順番のマナーを紹介します。
寿退社は3ヶ月前までに報告を
寿退社するとなったら、辞める3ヶ月前までに会社側に報告しましょう。
社員が辞めると、会社側は新しいスタッフを補充して、引継ぎをしなければなりません。
3ヶ月程度あれば、余裕を持って新たな体制づくりをすることができますから、会社にもあまり負担をかけずに済みます。
なお部署の責任者や、専門性が高い職務についている場合は、もう少し余裕をもって報告するほうがベター。
なお3ヶ月はあくまでも目安。
就業規則には退職の報告の時期が明記されているので、念のため事前にチェックして。
報告の順番は、まず直属の上司から
寿退社の場合は、まずは直属の上司に報告を。
仲がよくても同僚へ先に教えてしまうのはNG。
自分が報告する前に他から上司の耳に入ってしまうと、気まずくなりますし、その後の引継ぎにも影響がでてしまいます。
一般的には、上司→先輩→同僚の順で報告します。
朝礼で挨拶したり、1人ひとり順番に挨拶してまわることもあるので、職場のルールやしきたりにのっとって報告を。
職場に「退職願」「退職届」を提出する
上司への報告が済んだ後、退職1ヶ月前を目安に「退職願(退職届)」を提出します。
会社によっては提出期限が異なるので、就業規則などを確認してくださいね。
なお一般的に、退職願は「退職することを願いでるもの」、退職届は「この日に退職します」と宣言するものとなっていますが、たいていの場合は「退職願」を提出します。
【例文】寿退社をする場合の、職場への言い方
【上司への報告(口頭)】
私ごとですが、この度結婚することになりました。結婚式は、◯月を予定していまして、親族のみでささやかに挙げる予定です。
それで結婚を機に、退職させていただきたいと思っています。
ご迷惑をかけない時期を、改めてご相談させていただいたうえで、退職日を決めたいです。
ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします。
【同僚や先輩への言い方(メール)】
件名:退職のご連絡(○○部 △△)
○○部○○課
○○さん
お仕事中失礼します。○○部の△△です。
私事で大変恐縮ですが、○月に結婚することになりました。
つきましては、○月末をもちまして退職させていただきます。
入社して○年の間、○○さんには温かい心遣いやご指導を頂きまして、本当にありがとうございました。
今まで勤務し続けてこられたのも、○○さんのお力添えがあったからこそと思っております。
今までの経験を糧に、これからも歩んでいきたいと思います。
直接お礼を言えず、メールでのご報告となるご無礼をどうぞお許し下さい。
今まで、本当にお世話になり、ありがとうございました。
職場への結婚報告から、退職までの流れ
円満な寿退社のためには、周りに迷惑をかけないよう早め早めの準備が必要。
退職までのスケジュール例を紹介するので参考にしてくださいね。
3ヶ月前
- 直属の上司に報告
- 引継ぎの準備を行う(担当業務の段取りや進行状況、職務分担などを詳細に)
1ヶ月前
- 退職届の提出(必要に応じて)
- 退職後に必要な書類を総務などで確認
10日前~2週間前
- 後任者へ仕事の引継ぎ
- 取引先へのあいさつ、後任の紹介(必要に応じて)
1週間前
- 挨拶状の用意(必要に応じて)
- 机やロッカーなどの整理
退職日当日
- 菓子折りなどをもって出勤
- 引継ぎの最終確認
- 社内で挨拶まわり
- 会社から貸与されていたものを返却(社員証やロッカーの鍵など)
- 上司や同僚に退職の挨拶メールを送付(必要に応じて)
円満に寿退社するために。引継ぎの注意点
結婚に浮かれて、仕事をおろそかにして急に退職する、なんていうのは最悪のパターン。
職場の人から、「非常識な人…」と思われないように、仕事の処理や引継ぎは最後まで抜かりなく行いましょう。
自分宛てのメールは、転送手続きをする
退職後、自分宛に取引先から自分宛にメールがくることも十分ありえるので、引き継いだ担当者への転送手続きを済ませておきましょう。
なお会社で使っていたメールアドレスは、退職者個人ではなく会社の所有物なので、退職後に使用することはできません。
名刺は持って帰らず、引き継ぐ
名刺もメールアドレスと同じく会社の所有物です。
取引先の名刺も仕事を通じて取得したものなので、会社の所有物。
自分の名刺も、取引先の名刺も退職時には会社に返却します。
会社に返却するもの・会社から受けとる必要書類一覧
退職時には、会社の所有物はすべて返却し、同時に退職後の手続きに必要な書類を受け取ります。
【会社に返すもの】
- 健康保険被保険者証
- 社員証やIDカードなどの身分証明書類、社章、名刺
- 制服、作業着(クリーニングして返却)
【会社から受け取る必要書類】
- 雇用保険被保険者証 ※入社後に受取っている場合もあります
- 源泉徴収票 ※最終月の給与支給日後に郵送される場合が多い
- 年金手帳 ※会社が預かっている場合のみ
- 健康保険被保険者資格喪失証明書 ※必要な場合
- 退職証明書 ※必要な場合
- 離職票(退職後2週間程度で郵送される。転職先が決まっている場合は不要)
こんな時どうしたら?寿退社の疑問
寿退社するときって、「こんな時はどうすればいいの?」「この方法で大丈夫?」と、不安になることもありますよね。
寿退社するまでに起こるふとした疑問にお答えします。
デキちゃった婚の場合は報告すべき?
できちゃった婚(授かり婚)は珍しいことではありませんが、会社に報告するのはちょっと気がひけますね。
月齢と、辞める時期しだいかと思います。
引き継ぎなどの事情もあるので、上司だけは早めに報告しておいたほうがいいでしょう。
退職時期を決めたら、さりげなく妊娠していることも伝えましょう。
アルバイト・パート・派遣の場合はいつまでに報告する?
派遣社員の場合、退職の報告をするのは派遣元である派遣会社に。
派遣契約期間終了の1ヶ月前までに申し出るのが好ましいでしょう。
退職することが決まったあとで、派遣先にも報告をします。
パートやアルバイトの場合も、目安として退職する1ヶ月前までには報告しましょう。
あくまで目安であって、繁忙期を避けたり、次のシフトが決まる前に報告するなどの配慮も必要です。
退職日が決まったらやる気が起きない。周囲と気まずい
寿退職を会社に申し出るのは、退職の約3ヶ月前。
そこから3ヶ月間は、「立つ鳥跡を濁さず」の意識をもって、やるべき業務はしっかりこなしましょう。
辞めるとわかっていると気がゆるんでしまいがちですが、結婚のことばかりで仕事をおろそかにするのは社会人としてNG!
「お世話になりました」のお菓子は必要?
退職日の挨拶まわりに、お菓子などのお礼の品を配るべきでしょうか?
特に決まりはありませんが、用意しておくと挨拶するきっかけにもなりますよ。
悩んだ時は、会社の慣例や身近な先輩たちがどうしてきたかを参考にして。
まとめ
- 退職と入籍の順序によって必要な手続きが異なるので注意
- 最初に退職の報告をするのは直接の上司で、目安は退職3ヶ月前までに
- 退職手続きや引き継ぎはスケジュールを立てて計画的に
- 退職日には会社から借りていたものを返却し、必要書類を受け取る
寿退社をするときには、入籍と退職の順序や、辞める時期で、手続きやメリットが違ってきます。
よく検討したうえで、自分に適したタイミングを選んでくださいね。