本籍(本籍地)って何?結婚前に知っておくべき基本を詳しく解説!
婚姻届に記載欄がある、「(自分の)本籍」と「新しい本籍地」。
結婚後は夫婦2人で同じ場所に本籍を置く必要がありますが、日本国内であればどこに置いても良いという特徴から、決め方に迷うカップルも。
ここでは、「本籍地とは何か?」という基本から、先輩カップルの本籍地の決め方や婚姻届け提出後の本籍地変更手続きなど、結婚前に知っておきたい「本籍地」についての情報をまとめました。
この記事のポイント!
- 婚姻届提出前のカップル向け
- 本籍地とはなにか、基本がよく分かる
- 本籍地を置く場所や決め方が分かる
- 婚姻届提出後の本籍変更に必要な書類や手続き方法が分かる
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婚姻届の、本籍(地)とは?変えないのはアリ?
本籍とは戸籍がある場所のことで「戸籍管理のための見出し」という役割を持っています。そして戸籍を管理している自治体を本籍地と呼びます。
なお戸籍とは、国民を「戸=家族・血族」の単位で登録している行政上必要な名簿(公簿)のことで、親と子供を単位に作られます。
本籍と住所の違い
どちらも「土地」を示すことに違いはありませんが、本籍地と住所地は別のものです。
- 本籍:本籍地として登録した場所(戸籍をおいた場所)
- 住所:住んでいる場所(所在地、住民登録した地)
入籍すると夫婦のどちらかは、必ず本籍地が変わる
婚姻届を提出すると、それまで入っていた両親の戸籍から抜けて、夫婦で新たな戸籍を作ります。
そのため2人の戸籍を置く場所(本籍地)を決めることは必須。夫婦のうち、どちらか1人は本籍地を変えないといけません。
夫or妻の本籍にあわせるか、2人とも変更して1ヶ所に決めるかのどちらかです。
【番外】戸籍の筆頭者とは
本籍や婚姻届にまつわる手続きを調べていると、「(戸籍の)筆頭者」という言葉をよく目にするはず。
この「筆頭者」とは、戸籍のいちばん最初にかいてある人のことを指します。
未婚の男女が結婚すると、新しい戸籍が作られますが、その時に夫婦のどっちの姓を名乗るのかで、筆頭者が決まります。
- 夫の姓を名乗る→筆頭者は夫
- 妻の姓を名乗る→筆頭者は妻
筆頭者は、離婚しても、死んでしまっても、変わることはありません。
自分の本籍地がわからない!調べる方法
自分の本籍地が分からない!と困るカップルも多いですよね。
本籍地の確認はまず、両親に聞いてみましょう。
たいていの場合は両親と同じ戸籍に入っているので、父親母親が自分の本籍地を把握していれば、これで解決します。
両親も自身の本籍地がわからない、聞けないなどの事情がある場合は、以下の方法で本籍地を調べてください。
住民票の写し(住民票記載事項証明)を取得する
本籍地の書かれた住民票の写しを取得すれば、だれでも自分の本籍地を確認できます。
ここで注意したいのは、住民票には必ずしも本籍地が記載されるわけではない、ということ。
「本籍地を記載した住民票をください」と言うか、交付申請書にある「本籍・筆頭者」などの欄にチェックを入れましょう。
住民票は現在住んでいる自治体の役所で取得可能で、発行手数料に300円ほどかかります。
ちなみに一部の市町村では、コンビニの証明書交付サービスで本籍地の書かれた住民票の写しを取得できますよ。
参考:コンビニエンスストア証明書自動交付サービス | 渋谷区公式サイト
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本籍(地)の決め方は国内なら自由!ただし、夫婦別々はNG!
夫婦の新しい本籍地は、基本的には日本国内であればどこでも自由に決められます。
ただし、夫婦2人で別々の本籍地を登録することは不可能で、必ず統一する必要があります。
それさえ守れば、出生地や現在住んでいる場所と関係なく、好きな場所に本籍を置けますよ。
人気の本籍地はどこ?みんなが選んだ本籍地の割合
では、先輩カップルたちはどこを本籍地としているのでしょうか?
「みんなのウエディング」のアンケートでは、以下のような結果になりました。
- 新郎新婦どちらかの実家:55%
- 新郎新婦の新居:37%
どこでもいいとは言え、本籍地=住んでいるところ、という印象は強いようですね。
ほかにも思い出の場所や有名スポットなどが本籍地として人気です。
1.新郎新婦、どちらかの実家を本籍地にする
一番多いのは、新郎新婦どちらかの実家を本籍にするパターンです。たいていの人は両親のいる実家が自分の本籍地なので、結婚後もそのまま引き継ぐ形となります。
一般的には、新郎の実家を本籍地にします。
戸籍=家というイメージと、結婚は女性が男性の家に入るもの、という認識が影響しているようですね。
ほかには以下のような理由で、実家が本籍地に選ばれています。
- 新居が賃貸だから、とりあえず片方の実家に本籍を置いた
- 戸籍謄(抄)本が必要になったとき、実家の家族に取得を頼める ※戸籍謄本(抄本)は本籍地の役所でのみ、発行が可能
みんなの体験談夫の母の希望で決まりました
新居を本籍にしたいと思っていましたが住所が決まらず、婚姻届の本籍地の欄を空欄にしていました。そのうち、夫の母から「本籍はこちらの実家にしてほしい」と要請が!
そして、自分の母に相談をしたところ、「それが当たり前」と言われ、遠く離れた馴染みのない夫の実家を本籍にしました。
夫と2人で本籍について話し合った時に、先に決めておけばよかった…。ちなみに、夫の母は喜んでいて、お願いしてないのに戸籍謄本を送ってくれました(笑)。
2.新郎新婦の新居を本籍地にする
2人で新たに生活をスタートする新居を本籍地にしたというカップルもいます。
夫婦として出発する地を本籍地にすると、「2人で共に過ごしていくんだ!」という決意も高まりますよね。
また住所と本籍地を一緒にしておくと、戸籍謄本が必要になった時、すぐに役所へ取りに行けるというメリットもあります。
3.思い出の場所や有名スポットを本籍地にする(皇居、富士山、大阪城など)
本籍(地)は、好きな場所に自由に選ぶことができるという特徴から、2人が出会った場所や思い出の場所を本籍地にしたというカップルも。
「好きで結婚した相手でも、旦那の実家を本籍地にするのは抵抗がある」「忘れない場所を本籍地にしたかった」と話す新婦もいます。
人気があるのは、たとえばこちらのスポットです。
- 皇居(住所:東京都千代田区千代田1-1)
- 富士山(※)
- 東京ディズニーランド(住所:千葉県浦安市舞浜1-1)
- 東京ディズニーシー(住所:千葉県浦安市舞浜1-13)
- 大阪城(住所:大阪市中央区大阪城1-1)
- 東京スカイツリー(住所:東京都墨田区押上1-1-2)
- 明治神宮(住所:東京都渋谷区代々木神園町1-1)
※富士山の山頂は住所が確定していないため、本籍地としての登録は不可。山頂付近の住所で登録を検討してみましょう。
(参考)富士山の頂上に本籍を置くことはできますか。 | 静岡県富士宮市HP
賃貸の新居を本籍地にしたら、デメリットはあるのか
賃貸のアパートやマンションを本籍地にしたからといって、なにかデメリットや問題があるわけではないです。
本籍は戸籍管理上必要な、見出し程度の意味しかありません。
今後遠方に引っ越した際に、郵送で戸籍謄本・戸籍抄本を請求する手間がかかる程度です。
ただし本籍地=住んでいる場所もしくは実家、というイメージは強いので、夫婦のどちらかが「実利的には問題がなくても、心情的には嫌だ」と感じているかも。
また両親・祖父母世代は、夫の実家に本籍を置くのが一般的でした。本籍地を大切にしていることもあるので、後々もめる原因になるケースも少なくありません。
ちなみに本籍は、引越しのたびに変えなくてOK。
戸籍を移動すると、相続手続きの際に遺族が、いままで本籍を置いていた各地から戸籍謄本や除籍謄本を取り寄せる手間がかかる、という大きなデメリットがあるんです。
参考:引っ越しをしても本籍は動かす必要ナシ!「転籍」が無駄である3つの理由
本籍地が遠方だと、戸籍謄本取得が不便になる
戸籍謄本・戸籍抄本は基本的に、本籍地の役所でしか取得できません。
ですから、実家や2人の住んでいる場所から遠いスポットを本籍地に指定すると、戸籍謄本が必要になったとき不便です。
戸籍謄本が必要になるのはこんな場面。本籍地まで出向くか、郵送してもらわないといけません。
- パスポートの取得
- 運転免許証に記載されている事項の変更時
- 不動産登記時
- 子どもの入学・進学時(学校による)
なお自治体によっては手続き後、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付サービスで戸籍謄本・戸籍抄本を取得できます!まずは下のページから確認をしましょう。
▶コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付【コンビニ交付】 | 本籍地の戸籍証明書取得方法
すぐ同居する予定がないなら、「新しい本籍地」は空欄にしてもOK?
基本的に「新しい本籍地」を空欄にして出すと、婚姻届は受理されません。後ほど解説する例外以外は、全員新しい本籍地を記入してから婚姻届を出しましょう。
戸籍システム上、本籍地と2人が住んでいる場所や同居の有無は、全く関係がありません。必ず「新しい本籍地」を書いてくださいね。
参考:婚姻届の婚姻後の新しい本籍地の欄ですが、まだ同居するかどうか決まっていないのですが、どうすればいいですか。(FAQID-2246~2249・2289)d - 広島市公式ホームページ
婚姻届の「新しい本籍地」の欄が空欄でいい場合
夫婦のどちらかが戸籍の筆頭者、かつ筆頭者の姓を名乗る(その戸籍に入る)場合は、例外的に「新しい本籍」の欄は空欄でも受理されます。
筆頭者と結婚して筆頭者の苗字を名乗る場合、手続き上は、すでに作られていて本籍も決まっている戸籍に入る形を取ります。
ですから、わざわざ新しく本籍を定める義務がないんです。
たとえば以下の場合は、筆頭者になっている可能性があるので、戸籍謄本などを確認してみて。
- 分籍した人
- 離婚歴があり、かつ自分の姓を名乗っていた人
- 未婚で出産した女性
Column
婚姻届は、住民票通りに書くのが安心!
婚姻届は住所の書き方に決まりがあります。婚姻届を記入するときは、本籍地記載の住民票を用意して、その通りに書くと失敗しません。
「東京都世田谷区△△1-2-3」などと、-(ハイフン)で書かず、「番地」や「番・号」で書いてください。
なお本籍地は丁・番までで、号やマンション名・アパート名は書きません。
また土地の表示方法は地番(〇丁目〇番地)と住居表示(〇丁目〇番〇号)の2種類があり、地区によって違いがあります。
適当に書いて誤った場所を本籍地にしないよう、用心してくださいね。
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本籍地は、婚姻届提出後も変更できる!
基本的に、本籍地はいつでも変更できます。本籍地を変えるのは、「家を買った」「郵送で戸籍謄本・戸籍抄本の取り寄せが面倒」なのが主な理由です。
本籍地変更に必要な書類と手続き方法
【手続きに必要な書類】
- 転籍届(役所、HPで入手)
現在の本籍、新しい本籍、同じ戸籍上にいる人の名前と住所、転籍届の届出人などを記載 - 戸籍謄本
同一市区町村内での転籍の場合は不要 - 印鑑
筆頭者・配偶者2名の印鑑が必要 - 届け人の本人確認書類
運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等
【手続きをする場所】
- 現在の本籍地がある市区町村
- 現在の居住地の市区町村
- 変更後に置きたい本籍地の市区町村
※上記いずれかの役所へ出向いて戸籍筆頭者が必要書類を提出し、役所の指示に沿って手続きを行います。
なお本籍地変更に必要な書類・手続き方法は各市区町村によって異なります。必ず事前の確認を行い、役所の指示に沿って手続きを進めてくださいね。
本籍を変更したら、免許証やパスポートなどの書き変えが必要
本籍地を変更した場合、それに伴い変更手続きが必要なものもあります。
- 運転免許証:記載事項変更届を提出
- パスポート:本籍の都道府県が変更になる場合に限る
- 国家資格:本籍地が記載されている資格に限る(看護師免許、危険物取扱者免状など)
離婚したら、本籍地はどうなるの?
離婚した場合、筆頭者でない人はまず夫婦の戸籍から抜けます。
そして3ヶ月以内に、戸籍をどうするか次の中から選択をして、手続きをします。
- 結婚前の両親の戸籍に戻り、旧姓を名乗る
- 新しく自分を筆頭者とした戸籍を作り、旧姓を名乗る
- 新しく自分を筆頭者とした戸籍を作り、結婚時の姓を名乗り続ける
ちなみに新しく戸籍を作る場合は、好きな場所を本籍地にしてOKです。
「本籍地を何回も変えると、遺産相続の時に遺族へ戸籍謄本取り寄せの手間をかけるから」という理由で、離婚しても本籍はそのままにする人もいます。
まとめ
- 本籍地とは戸籍を保管する役所の場所のこと
- 結婚に伴い、夫婦2人で新たな本籍地を決める必要がある
- 日本国内であればどこでも好きな場所に置くことができる
- 新郎新婦どちらかの実家or新居の市区町村に本籍地を置くカップルが多い
- 皇居や大阪城など有名スポットや思い出の場所を本籍地とするカップルも!
- 遠方に本籍地を置くと戸籍謄本取得時に不便
- 婚姻届提出後でも本籍地の変更はできる
結婚するときに問題となる、本籍地についてまとめました。
本籍地は、ひとつの戸籍につきひとつ決定するのが基本。
婚姻届けを提出したら、夫婦で別々の場所に本籍地を置くことは認められていないので、いずれにしても、2人でよく話し合って本籍地を決定してくださいね。