婚姻届の職業欄の書き方・選択肢の選び方と間違えたときの訂正方法
婚姻届の提出は、二人が夫婦になるための第一歩。
婚姻届には見慣れない言葉なども多く、「書き損じや不備があって受理されないんじゃ…」と、心配になってしまいますね。
そこでここでは、婚姻届の項目の中から「職業欄」をピックアップ。
ケース別の書き方や職業の選び方、間違ったときの訂正方法をご紹介します。
婚姻届の職業欄の書き方で悩んだときは、ぜひ参考にしてくださいね。
婚姻届の「職業欄」とは?
婚姻届の職業欄とは、正式には「同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事と夫妻の職業」という項目です。
記載する内容は、大きく2つに分かれています。
(1)同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事
(2)夫妻の職業
婚姻届にどうして職業を記入する欄が設けられているかというと、人口動態調査(※)などの統計に利用するのが主な目的です。
そのため婚姻届の提出時に、記載内容の厳密なチェックが行われることはないよう。
記入ルールさえ守れば、そこまでナーバスになる必要はないので、安心してくださいね。
(※)出生、死亡、死産、婚姻、離婚と職業や産業との関連を調べるための調査
婚姻届「同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事」とは
「同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事」とは、新郎新婦が同居を始める前に所属していた世帯が、主な収入を得ていた仕事のこと。
仕事の内容や事業所の規模、雇用形態などによって、以下の6つに分類されています。
1.専業農家・兼業農家
【1.農業だけまたは農業とその他の仕事を持っている世帯】
- 専業農家
- 兼業農家
生産農家を営みながら、サラリーマンとして会社勤めもしている場合などもあてはまります。
2.自営業、フリーランス
【2.自由業・商工業・サービス業等を個人で経営している世帯】
企業に属してなく、個人事業を営んでいる自営業の世帯のこと。
- 自由業(フリーランス)
- 商工業
- サービス業
- 漁業
- 林業
- 開業医(医者・歯医者など)
などの職種が含まれます。
3.従業員数1~99人の企業の会社員(役員※)
【3.企業・個人商店等(官公庁は除く)の常用勤労者世帯で勤め先の従業員数が1人から99人までの世帯】
従業員数が1〜99人の会社に勤めている、常用勤労者の世帯。
ここでの常用勤労者とは、以下のいずれかに当てはまる人のことをいいます。
- 期間を定めないで雇われている(正社員のサラリーマンなど)
- 1年以上の契約で雇われている人
要するに、従業員数が99人までの企業に勤めている会社員(正社員)はこちらに当てはまります。
会社役員でも、一般社員と同じ給与規則が適応されていて、非役員と同じように働いている社員は、(4)ではなくこちらを選択します。
なお1年未満の契約で働いている場合(契約社員など)は、「5. 1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯」を選択しましょう。
4. 従業員数100人以上の企業の会社員、会社役員、公務員
【4. 3にあてはまらない常用勤労者世帯及び会社団体の役員の世帯】
従業員が100人以上の会社に勤務している常用勤労者や、会社の役員をしている人の世帯。
地方公務員(教師、役所勤務、警察官など)、国家公務員も、こちらを選択しましょう。
常用勤労者の条件にあてはまらない場合は、「5. 1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯」となります。
5.派遣社員、アルバイト、フリーターなど
【5.1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯】
従業員100人以上の企業に勤めていても、1年未満の契約で働いている契約社員や派遣社員、学生アルバイト、フリーター、パートなどはこちらを選択します。
6.一人暮らしで無職、実家で親の年金暮らしなど
【6.仕事をしている者のいない世帯】
世帯のなかに働いている人が全くいない場合は、こちらを選択しましょう。
「それぞれの世帯」の世帯とは何?
この欄を記入するときに気を付けたいのが、「世帯」とは何かということ。
ここでの世帯とは、住まいや生計を共にする人の集まり、または一人暮らしをしている、独立して生計を立てている個人をいいます。
主なパターンは次の3つ。
- 実家で家族と同居、生計も同一:家族で一世帯
- 実家で家族と同居、生計は別:自分個人で一世帯(同住所別世帯)
- 一人暮らし:自分個人で一世帯
自分が家族と同一世帯なのか別世帯なのかを確認したうえで、主な収入を得ている職業がどれにあたるのかを選択しましょう。
わからないときは、世帯全員の住民票の写しや住民票記載事項証明を発行すると、自分が属する世帯の構成が確認できます。
婚姻届の職業欄の書き方と記入例「同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事」
「同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事」欄は、チェック方式。
夫・妻それぞれにチェック欄が設けられているので、あてはまる項目のチェックボックスに、チェックマーク(レ点)を記入しましょう。
入籍前に実家暮らしだった
実家暮らしをしていて、生計を別にしていない場合は、父親など家族で「もっとも多く収入を得ている人」の仕事を選択しましょう。
「もっとも多く収入を得ている人」が世帯主ではない場合もあるので、注意が必要。
実家と世帯を分けていた場合は、自分の職業を記入してください。
【記入例】
・飲食店経営の父親(世帯主)の収入がもっとも多い:「2」を選択
・父親(世帯主)は定年済、公務員の兄の収入がもっとも多い:「4」を選択
・実家とは同住所別世帯の夫、半年更新の契約社員:「5」を選択
入籍前に一人暮らししていた
実家を離れて一人暮らしをしていた場合は、夫婦それぞれの入籍(同居)直前の職業を選択します。
また、結婚する前から同棲していたカップルは、同棲前の状況(実家、一人暮らし)に応じて、実家または自分の職業を選択しましょう。
【記入例】
・従業員80人の会社に正社員として勤める夫:「3」を選択
・入籍(同居)前に寿退社した妻:「6」を選択
婚姻届の職業欄の書き方と記入例「夫妻の職業」
「夫妻の職業」欄には、役所の窓口にある職業一覧や厚生労働省『職業・産業例示表』を参照して、番号か職業分類名を記入します。
詳細な業種や、役職を記載する必要はありません。
職業・産業例示表は内容が変更される場合があるため、必ず、婚姻届を記入する時点で最新の情報を確認しましょう。
国勢調査の年(2020年、25年…)以外は書かない(空欄)
婚姻届の記入欄にカッコ書きされているとおり、「夫妻の職業」を記入するのは、国勢調査の年だけ。
それ以外の年は空欄で提出します。(何も書かなくてOK)
国勢調査は例年、5年おきに実施。
前回は2020年でしたので、直近では2025年、その次は2030年に実施予定です。
『職業・産業例示表』の番号・職業分類名と主な仕事例
職業分類名と番号、分類ごとの主な職業をご紹介します。
【01】 専門・技術職
研究者、技術者(システムエンジニア、食品開発技術者など)、保健医療従事者(医師(医者)、薬剤師、看護師、歯科衛生士など)、保育士、裁判官、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、ケアマネージャー、教師(小中高校教員、大学教員など)、宗教家(僧侶など)、記者、編集者、美術家、デザイナー、音楽家、芸能人(タレントなど)、プロスポーツ選手、司書、通訳
など
【02】管理職
国会議員、地方議会議員、各省庁局長・課長、地方自治体助役・収入役、会社・団体等役員(会社社長、取締役、公社・公団・公庫等の総裁・理事など)、旅館経営者
など
【03】事務職
一般事務員、会計事務員、秘書、公共料金集金人、検針員、保険料集金人、改札係、郵便窓口事務員
など
【04】販売職
小売・卸売・飲食店主、販売員(アパレル、コンビニなど)、営業員(商品販売外交員、保険代理人・外交員、銀行外務員など)、不動産仲介、株式売買人
など
【05】サービス職
家政婦(夫)、ホームヘルパー、理容師、美容師、調理師、客室乗務員、ホステス・ホスト、アパート管理人、旅行・観光案内人、介護職員(病院、老人ホームなど)、介護福祉士
など
【06】保安職
自衛隊、警察官、海上保安官、看守、税関監視官、麻薬取締官、消防士、 守衛、ガードマン
など
【07】農林漁業職
農耕、養畜、造園、林業、漁師、水産養殖作業者
など
【08】運輸・通信職
鉄道運転従事者(機関士、運転士など)、自動車運転手、車掌、船舶・航空機運転従事者(操縦士、機関士など)、船舶技士、フォークリフト運転手、航空管制官
など
【09】生産工程・労務職
各種製造、組立・修理作業者、印刷・製本、大工、建設機械運転、電気作業者、建設作業者、運搬労務作業者(倉庫作業など)、自動車整備士、航空整備士、清掃員
など
【00】無職
収入を得るための仕事についていない人(専業主婦など)
***
厚生労働省がホームページで提供している一覧では、選択を迷いやすい職業も「この分類に含まれない職業」としてまとめられています。
会社経営や公務員、銀行マンなど、職種や業務内容によって分類が変わる職業も。
よく確認して、適した分類を選択してくださいね。
一覧や書き方見本を確認してもわからない場合は、役場の担当者に問い合わせましょう。
婚姻届の職業欄を書き間違えた場合の訂正方法
婚姻届の職業欄を書き間違えたときには、間違えた部分を横線(1本または2本)で訂正し、欄内の余白に書き直しを。
さらに、婚姻届の届出印と同じ印鑑を、押しましょう。
訂正用の印鑑を押印するための枠(訂正印欄)が設けられている場合は、枠の中に押してください。
婚姻届を修正するときは、修正テープや修正液を使うのはNG。
また、消せるボールペンで記入することもできないため、注意しましょう。
「夫妻の職業」欄を書いてしまった場合の訂正方法
国勢調査の年ではないのに「夫妻の職業」を記入してしまったときも、横線で消してから、欄外に届出印と同じ印鑑の押印を。
訂正しないまま提出して受理されたというケースもあるようですが、きちんと手順を踏んで訂正した方が無難。
不安のない状態で、提出してくださいね。
職業欄を選び間違えた、嘘ついた。婚姻届は受理されない?
婚姻届の職業欄の内容は、人口動態調査や国勢調査などの統計に反映するためのもの。
もし職業欄を違えて書いてしまい、気が付かずそのまま提出しても、受理されることでしょう。
役所の窓口でその場で真偽を調査することはないようです。
ただし届け出前に間違いに気が付いたなら、きちんと訂正をすることをおすすめします。
すでに解説をした通り、婚姻届の訂正方法は簡単です。
間違えて不受理になるかどうか不安なら、きちんと訂正をしたほうが安心です。
もちろん意図的に、虚偽の職業を記載するのはやめましょう。
また、夫妻の職業欄に「会社員」「自由業」などあいまいな職業を書くと、具体的な職種を書くように求められることがあるよう。
自己判断で記入せず、必ず職業・産業例示表などを参照してくださいね。
まとめ:職業欄の書き方を知って不備のない婚姻届を作成しよう!
- 婚姻届の職業欄は「同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事」と「夫妻の職業」の2つに分かれている
- 同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯の仕事は、同居を始める前に属していた世帯が、主に収入を得ていた仕事にチェック
- 夫妻の職業は国勢調査の年だけ、夫婦それぞれの職業の分類名と番号を記入
- 書き間違えたら二重線+捨印で訂正を
婚姻届は二人が夫婦になるための大切な書類。
わかりにくい職業欄の書き方をチェックして、不備がない状態で提出してくださいね。