入籍後の苗字は彼・彼女どっちの「姓」にする?
婚姻届には「夫の氏」「妻の氏」どちらを名乗るか、チェックを入れる項目があります。
ここでどちらにチェックするかで、結婚後の苗字が決定します。
どちらの姓にするかすんなり決まることもありますが、迷ったり揉めたりする花嫁さんも。
夫と妻、どちらの姓にすることがどのくらい多いのか、どうやって決めるのかを紹介します。
また、職場で旧姓・新姓のどちらを使うかを決める時に確認すべき点も説明します。
入籍後の苗字は女性・男性どちらの姓に変更する?
厚生省が発表した「婚姻に関する統計」(平成28年度)によると、結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を名乗っています。
女性は男性の姓にするという、従来からの慣習に従うケースが多いようです。
(参考)平成28年度 人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況
男性・女性、どちらの姓にするか、どう決めた?
とくにこだわりがなく、どちらの姓にするか迷った場合は、以下の点から決めてみては?
- 苗字が途絶えてしまう方の姓にした
- 姓を変えても仕事に支障のない方にした
- 好きな方の苗字にした
夫が妻の姓を名乗ると揉める?苗字と戸籍の関係
夫が妻の姓になる選択肢も、当然ありますね。
婚姻届を出す時、妻の姓を名乗る欄にチェックするのは、あくまで「名乗り」であって「婿養子」に入ることではありません。
夫が妻の両親と「養子縁組」をしない限り、婿養子にはならないのです。
とはいっても、夫が妻の姓名乗ると、両家で揉める可能性がないわけではありませんね。
日本では男性側の家に嫁ぐ、というイメージが根強いので、男性側の苗字にして当たりまえ、という考えを持っている人もいます。
安易に決めず、お互いの両親を交えてよく話し合ったほうがいいでしょう。
結婚後の苗字を変えたくない!変更しない、夫婦別性は法律上不可
民法では「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と規定されています。
つまり結婚をするなら、夫婦が同じ姓を名乗らなければないので、法律上、夫婦別姓は認められていません(国際結婚を除く)。
これは世界的に見ても珍しいことで、法律で夫婦別氏を認めず夫婦同氏を規定しているのは、日本だけなのです。(2019年6月現在)
結婚後の苗字を変えたくない!その理由
女性が男性の姓に変えるのが一般的ですが、変えたくないと悩む花嫁さんもいます。
- 苗字を変えると仕事に不都合がある
- 自分の苗字にこだわりがある
- 相手の苗字が嫌い
- 自分の家の苗字が途絶えてしまう
- 彼のことは好きだけど、相手の家に「入る」という感じがイヤ
- 姓名判断が悪くなる
どうしても苗字が変わるのが嫌!という場合は、パートナーとよく相談を。
なお住民票やマイナンバーカード、免許証の旧姓併記が実用化され始めています。
仕事の上での旧姓使用の範囲も広がるはずなので、苗字にこだわる必要がなくなるかもしれませんね。
結婚後の苗字変更(名義変更)手続き一覧
結婚に際して苗字が変わると、多くの名義変更手続きが発生します。
段取りよく進めないと、時間と手間がかかるので要注意です。
- 健康保険証
- 住民票
- 国民年金・国民健康保険
- マイナンバーカード・通知カード
- 運転免許証
- 車(車検証)
- パスポート
- 銀行口座
- クレジットカード
- 電気・ガス・水道
- 生命保険・損害保険
- 電話(固定・携帯)
- インターネット・ケーブルテレビ
- ネット通販
- 国家資格など
- 会社での手続き
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結婚後に名義変更するもの一覧。必要書類や手続きを詳しく解説!
入籍後も職場では、通称として旧姓使用することもできる
戸籍上は彼の苗字に変わっても、職場で通称として旧姓の使用が認められている場合もあります。
職場で旧姓使用が可能かを確認し、旧姓と新姓それどれのメリット・デメリットをよく考えたうえで、どうするかを決めてくださいね。
職場で新姓を使うメリット・デメリット
◆メリット
- 気分を一新できる
- たくさんの人に祝福してもらえる
◆デメリット
- 会社での名義変更手続きが大変
- 内外への告知が面倒
- 結婚前と後のキャリアが、別の人のものと思われる可能性
- プライベートについてあれこれ言われる
職場で旧姓使用するメリット・デメリット
◆メリット
- 新姓を使うことで同僚や取引先を混乱させずに済む
- 名刺やメールアドレスを変更しなくて済む
- 結婚前と後のキャリアが、同じ人のものと認識される
- 結婚のことを報告するのは最低限に済ますことができる
- 結婚後長く働く予定がない場合、手続きが減る
◆デメリット
- 使い分けが面倒な時がある
- 2つの名前を管理する必要がある
結婚後の、旧姓使用の範囲はどこまで?
旧姓で仕事をすることができるとしても、使用可能な範囲まで確認しておきましょう。
会社で旧姓使用がOKなもの
旧姓が使用できる範囲は職場によって違いがありますが、以下の点はたいてい旧姓が認められています。
- 名刺
- ネームプレート
- 座席表
- メールアドレス
- 社員名簿
旧姓を通称使用していても新姓が記載される書類
仕事で旧姓を使うことができても、公的機関や銀行機関とやりとりがある書類は、新姓を記載することになります。
- 会社の給与明細
- 年末調整などの税金関係(源泉徴収票、扶養控除申告書、保険料控除申告書、配偶者特別控除申告書など)
- 年金・保険関係(生命保険、厚生年金、健康保険、雇用保険など)
- 確定申告関係の書類
※住民票とマイナンバーカードについては、2019年11月から旧姓併記が認められることになっています。(2019年6月時点)
職場で新姓を名乗るタイミングと社内への周知方法
結婚後、会社で新姓を名乗る場合、そのタイミングや周知方法はこちら。
【入籍直後or結婚式後】新姓を使うのはいつから?
婚姻届の提出と結婚式との間が空いてしまう場合、どちらのタイミングで改姓すべきか迷いますね。
結婚(入籍)すると、異動届などの社内文書の提出を求められることもあります。
会社はそれに基づいて、税金・保険などの名義変更手続きをしてくれます。
新姓を名乗るなら、この各種名義変更のタイミングと合わせるのがスムーズなので、入籍後から新姓を名乗るのがいいでしょう。
改姓の周知はメールでOK
メールアドレスの変更も必要な場合が多いので、新姓の周知は口頭よりもメールがスムーズ。
◆ 社内向けメール例
件名:結婚のご報告とメールアドレス変更のご連絡(田中花子)
各位
お忙しいところ失礼致します。総務部の田中です。
私事で恐縮ですが、この度結婚することとなりました。
これにともないまして、名字が田中から「小林」となりますので、取り急ぎご連絡させていただきました。
また、メールアドレスも○月○日より下記に変更になります。
旧アドレスも○月○日までは使用可能ですが、今後は新アドレスにご連絡いただけますと幸いです。
お手数ですが、ご登録の変更をよろしくお願いいたします。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
小林花子(旧姓 田中)
メールアドレス(変更後)kobayashi@△△△△
◆ 社外向けメール例
件名:結婚による名字変更のご連絡(△△株式会社 田中)
○○○○株式会社
○○様
いつもお世話になっております。△△株式会社の田中です。
私事で大変恐縮ですが、この度結婚いたしました。
名字が「小林」となりましたので、取り急ぎご連絡させていただきます。
また、メールアドレスも下記に変更になりましたので
お手数をおかけいたしますが、変更のほどよろしくお願いいたします。
今後ともお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。
△△株式会社
小林花子(旧姓 山田)
メールアドレス(変更後)kobayashi@△△△△
まとめ
- 入籍後、妻が夫の姓を名乗ることがほとんど
- 夫婦別姓は法律で認められていない
- 職場で新姓にするタイミングは入籍後
- 新姓の知らせ方はメールがスムーズ
結婚後の苗字は、夫・妻のどちらかを選択すると法律で定められています。
苗字をどうするか、仕事上の通称はどうするのかは、よく考えたうえで結論を出してくださいね。