結納の「目録」「受書」の書き方&作り方ガイド
結納時に結納品やその詳細を示した目録と、結納品を受け取った事を記す受書。
これらは後々まで残るとても大切な書類ですが、誰がどのように準備をすればいいのでしょうか?
結納は用意するものがとても多く、さらにしきたりやマナーといった細かい作法も存在します。
大切な書類となる目録や受書、結納返し目録、結納返し受書について、書き方や作り方をマスターしましょう♪
結納の目録・受け書とは?
結納目録とは、結納品の内容を書き記したメニュー表のようなもので、男性側が準備します。
それに対して受書は、「結納品を確かにいただきましたよ」ということが書かれた受領書のようなもの。
こちらは結納品を受け取った女性側が用意しておきます。
結納品は縁起を担ぎ、9、7、5品と割りきれない奇数で用意するのが一般的。
ただし、関東式と関西式によって、中身(結納品目)に違いがあるため、目録を作る際は注意しましょう。
地域別!結納目録の書き方例
それではさっそく、一般的な結納目録の書き方と例文を見ていきます。
関東式の書き方・内容
目録
長熨斗
一、金宝包 (or御帯料)壱封
一、末広 壱封
一、友志良賀 壱連
一、子生婦 壱台
一、寿留米 壱台
一、勝男節 壱台
一、家内喜多留 壱荷
右幾久敷 御寿納賜り度候也
平成○年○月○日
花婿太郎(新郎の名前)
花嫁花子(新婦の名前)様
こちらは関東の正式結納で一般的に用意する9品を結納品として納めた場合の目録です。
品目の上に書く漢数字は、すべて「一」で統一しましょう。
結納金については、金額は書かずに「壱封」とします。
結納目録の内容説明
目録は漢字ばかりでわかりづらいですが、内容をきちんと把握しておきましょう。
- 目録(もくろく)
当書。結納品の品目&数を明記した書類 - 長熨斗(ながのし)
あわびを干して長く伸ばしたもので、長寿の象徴だとされている - 金宝包(きんぽうづつみ)
結納金のこと - 末広(すえひろ)
純白の扇子で、「純粋無垢」「末広がり」の象徴 - 友志良賀(ともしらが)
「共白髪」を当て字にしたもので、白い麻糸を包んだもの。「2人共白髪になるまで仲良くいられるように」という意味 - 子生婦(こんぶ)
「昆布」を当て字にしたもので、「子宝に恵まれますように」という願いが込められている - 寿留米(するめ)
「するめ」を当て字にしたもので、するめは長期保存が効くことから「幾久しく」という意味がある - 勝男節(かつおぶし)
「鰹節」を当て字にしたもので、男性の強さ・たくましさを象徴している - 家内喜多留(やなぎだる)
「柳樽」を当て字にしたもので、現在では結納時の酒代・お食事代としてのお金を包む - 右幾久敷 御寿納賜り度候也
「右のとおり納めました、どうぞお受け取りください」という意味で、結納目録の定型文。 - 花婿太郎(新郎の名前)/花嫁花子(新婦の名前)様
新郎の名前は下揃えで、新婦の名前は最後に上揃えで書く
関西式の書き方・内容
関西の結納目録は書かれている品目が関東と少し違いますが、基本的には同じ。
関東版目録の例文の「金宝包み」〜「柳樽」を下記のように変えます。
一、長熨斗
一、小袖料
一、末広
一、高砂
一、子生婦
一、寿留米
一、家内喜多留
一、松魚料
一、結美和
同じ9品ですが目録自体は含めず、関東にはない松魚料(まつうおりょう)、結美和(婚約指輪)を品目にプラスするのが特徴的。
また関西では、結納金を小袖料(こそでりょう)と表現したり、友志良賀の代わりに高砂(たかさご)と呼ばれる老夫婦の人形を用意したりします。
松魚料はお食事代単品、高砂は友志良賀と同じで「いつまでも夫婦円満」を意味するものです。
略式結納の目録の書き方
最近では、新婦宅やレストランやホテルで行う略式結納がポピュラー。
略式結納の際も、結納目録は上で説明したとおりで大丈夫です。
その際、結納品が9品より少なくなる場合は、その分を省いて書くようにします。
ちなみに品目を減らす場合、勝男武士と家内喜多留を省いた7品、または、そこからさらに子生婦と寿留女を省いた5品が一般的です。
夫婦が関西・関東で分かれる場合は話し合いを
結納は基本的に関西と関東でやり方に差が出てきます。
目録・受書の作成にも関わってきますので、もし夫婦で出身地が異なる場合は、きちんと話し合ってから結納を行うのが基本。
どちらのスタイルに合わせるのかなど、あらかじめしっかり決めておきましょう。
結納受書の書き方・例文
女性側ではもらった結納目録に対し、結納受書を用意します。
男性側の結納品が何なのかギリギリまでわからない場合と、すでに教えてもらっている場合、それぞれの書き方を見ていきましょう。
中身が事前に確認できている場合
すでに結納品の中身が確認できているのなら、受書は目録に書かれた宛名と文章が少し変わるだけで、あとはほとんど同じです。
受書
長熨斗
一、金宝包 (or御帯料)壱封
一、末広 壱封
一、友志良賀 壱連
一、子生婦 壱台
一、寿留米 壱台
一、勝男節 壱台
一、家内喜多留 壱荷
右幾久敷 御受納仕り候也
平成○年○月○日
花嫁花子(新婦の名前) 花婿太郎(新郎の名前)様
目録では「右幾久敷 御寿納賜り度候也」(右の品をどうぞ受け取ってください)と書かれていた部分が「右幾久敷 御受納仕り候也」(右の品を確かに受け取りました)の文章に変わります。
さらに差出人と宛名が目録とは入れ替わるので注意。
受書では、差出人の新婦の名前のところにかかるよう、印鑑(認印でOK)を押すのが正式です。目録では押す必要はありません。
中身が確認できていない場合
続いて、結納品の中身が事前に確認できなかった場合です。
受書
御結納品一式
右幾久敷 御受納仕り候也
平成○年○月○日
花嫁花子(新婦の名前)
花婿太郎(新郎の名前)様
品目部分が「御結納品一式」に変化します。
「昔にならって事前に結納品は伝えない」または現代らしく「新郎が結納品にサプライズを混ぜている」といった場合は上記で作成しましょう。
ちなみに関西版の受書の書き方は、目録と同様に関東版の品目部分を変えるだけでOK。
男性側が受書を用意するケースもある
受書は新婦側が用意するのが一般的ですが、結納品の中身を把握している新郎側が気を利かせて用意することも。
その場合、新郎は女性側に「受書はこちらで準備をしてもよろしいですか?」と一言尋ねるようにしましょう。
女性側が「慣わしどおり受書は女性側で用意したい!」ということも考えられます。
男性側が準備した場合は、結納前に女性側に渡し、あらかじめ印鑑を押しておいてもらうとスムーズです。
結納の目録・受け書 作り方&内容の注意点!
目録・受書には、作成時に間違ってはいけないポイントがあります。
難しいことではないので、心得ておきましょう。
目録・受書の宛名は統一して
ありがちなのが、目録と受書の宛名・差出人がバラバラだったという失敗談です。
男性側は目録の差出人・受取人を両家の父の名前で準備したのに、女性側の受書では新郎新婦の名前だった、ということも。
同様に品目の当て字も、事前にお互い確認しておきましょう。
毛筆の手書きで。代筆を頼んでもOK
目録も受書も、毛筆の手書きで作成します。
いくら自信がないといってもボールペン・鉛筆はNG。
両家に残る正式な書類ですので、きちんとマナーを守るようにしましょう。
また、専門の業者に代筆をお願いしてもOK 。
一文字◯円〜といった風に請け負ってくれますので、手書きに自信がない人は利用するのもオススメです。
日付は「吉日」としても良い
目録も受書も、日付部分は「○月吉日」とするのが今は主流です。
ゲン担ぎの意味合いがありますが、目録・受書の代筆を業者に頼むカップルが多いのも理由のひとつ。
作成後、「結納日が急に変わった」といった、日付に関するトラブルを避けるため、日付をぼかし「吉日」とする業者が多いのです。
もちろん、自分たちで用意するのならば日付はそのまま入れてもOK。
その場合、作成日ではなく結納日を記入し、漢数字は「壱」といった大字ではなく、一般的な「一」「二」を使うようにします。
当て字を使おう
目録・受書では品目に当て字を使います。
こちらも日付同様、ゲン担ぎの意味合いが強いです。
中には結納品とは別に婚約記念品を贈り、目録・受書に記すケースも。
その場合も、極力一般的な当て字を使うようにしましょう。
- 指輪:優美和、結美和 一環
- ネックレス:久美飾(くびかざり)一連
- イヤリング・ピアス:美々飾(みみかざり)一組
- 時計・腕時計:十慶、登慶恵 一個
- スーツ:スーツ、背広
結納返しにスーツを贈る場合、結納返し目録にはそのまま「スーツ」、「背広」と記載します。
このように当て字が難しい品目の場合、無理に当て字はしなくてもOKです。
結納返しに目録は必要?
結納品(結納金)をもらったら、女性側から男性側へ結納返しをします。
その際、結納目録同様に「結納返し目録」を作成するのが一般的です。
結納返しの目録の書き方
結納返し目録の書き方は、基本的に結納目録と同じでOK!
目録
袴料 一封
十慶 一個
スーツ 一式
右幾久敷 御寿納賜り度候也
平成○年○月吉日
花嫁花子(新婦の名前)
花婿太郎(新郎の名前)様
結納品目録と同じように、めでたい当て字を使うようにしましょう。
またスーツなどオーダーメイド品で現物が結納に間に合わない場合にも、品目だけを目録に記載しておきます。
結納返しの受書は必要?不必要?
結納返しにも正式には受書が必要ですが、今はそこまでしない人の方がほとんどです。
もし準備をする場合は、結納の受書同様、結納返し目録の中身・差出人を差し替えて作成します。
- 「目録」→「受書」
- 「右幾久敷 御寿納賜り度候也」→「右幾久敷 御受納仕り候也」
- 「新婦の名前」→「新郎の名前」
- 「新郎の名前」→「新婦の名前」
またこちらも、結納目録同様、結納返しを準備した女性側で用意してもOK。
結納返し前に、ささっと新郎に渡しておきましょう。
結納目録・受書の渡し方
目録・受書を結納で渡す場合、基本的には外表紙をつけたまま渡します。
文字を相手の方へ向け、両手でお渡ししましょう。
ヘギ台と呼ばれる足のない台座があるなら、乗せて渡すのがマナー 。
その場合、畳をこすらないよう、へぎ台自体を軽く持ち上げる→回転させ相手側に文字を向けて渡します。
当日モタモタしないよう、あらかじめ渡し方もマスターしておくとスムーズですよ。
「結納セット」ならテンプレートが準備されていて便利!
しきたりがあったり地方によってやり方が違ったりと、少し複雑な結納。
「結納目録・受書を自分たちで用意するのが不安」という人は、「結納セット」を購入するのがオススメ。
結納品と一緒に目録と受書が作成されている場合がほとんどで、専門店のほか、ネット通販や百貨店などでも購入できます。
結納は結婚において大事なイベントですので、失敗のないようプロに任せるのも充分アリです。
まとめ:きちんとした結納目録・受書を作って厳かな結納を♪
- 結納目録・受書には書き方やルールがある
- 関東と関西では結納品目が違う
- 結納返し・結納返し受書も基本的には目録・受書と同じ書き方でOK
- 目録と受書の手作りが不安な人は「結納セット」の購入を検討して!
結納目録・受書は結納時には欠かせないものです。
間違いのないよう、きちんとしたものをあらかじめ準備して結納にのぞみましょう!