ウェディングドレスを契約後に変更したい…。キャンセル料の基礎知識
運命のウェディングドレスにやっと巡り合った!と思ったのも、つかの間。
「やっぱり違うデザインがいいかも…」など、ドレスを変更したいと思うのは珍しいことではありません。
また新型コロナウイルスの影響により結婚式が中止・延期になって、やむを得ずウェディングドレスを一旦キャンセルすることもあり得ます。
既に契約したウェディングドレスをキャンセルして、他のドレスに変更することは可能ですが、通常はキャンセル料が発生します。
ここでは、ウェディングドレスなどの婚礼衣装キャンセルについて注目し、一般的なキャンセル規定やトラブルを避けるコツを紹介します。
ウェディングドレスを変更したい!契約後のキャンセルは可能?
ウェディングドレスなどの衣装を決めて、本契約を結んだ後であっても、キャンセル(変更)することは可能です。
一度衣装を決めても、時間がたってから「やっぱり違うかも」と考えが変わるのはよくあること。
とくにウェディングドレスは花嫁にとって、安易に妥協したくはないポイントなので、みんなさまざまな理由で、一度決めた衣装をキャンセルしています。
- 本契約後、他のショップで気に入ったドレスが見つかった
- ウェディングドレスとカラードレスの2着契約したが、お色直しは無しにした
- ドレスのほかに新郎用のタキシードを契約していたが、新郎衣装は持ち込みに変更した
- 結婚式そのものを延期したのでドレスもキャンセルした
ただ契約後にキャンセルするためには、キャンセル料の支払いが必要となります。
ウェディングドレスのキャンセル料
キャンセル規定はドレスショップによってまちまちですが、挙式日に近づくにつれて高額になります。
【ウェディングドレスのキャンセル料(例)】
- 挙式半年以上前…なし
- 半年~挙式5ヶ月前…レンタル料の20%
- 挙式5ヶ月前~挙式3ヶ月前…30%
- 挙式3ヶ月前~挙式2週間前…40%
- 挙式2週間前~前日…50%
- 挙式当日…100%
なお「ゼクシィ結婚トレンド調査2019」によると、ウェディングドレスの費用平均は25.9万円。キャンセル料が発生すると、かなりの額になってしまいますね。
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キャンセル料を請求しないショップもある
ショップによっては、キャンセル(変更)しても、キャンセル料を請求しない場合もあります。
- 同じショップ内で、別の衣装に変更する
- キャンセル後、一定期間内(1年以内など)に再度契約をする など
編集部より
新型コロナウイルスの影響は?
2020年冬春以降、新型コロナウイルス感染拡大により、泣く泣く結婚式を延期されたカップルもいるでしょう。
結婚式のキャンセル・延期に関しては、実費分のみのキャンセル料を請求するなど、柔軟に対応してくれる式場も増えているようです。
通常、新郎新婦の自己都合によるキャンセルとみなされますが、今回は世界的な異常事態。「一定期間内(1年以内など)に再度契約する」ことを条件にして、キャンセル料免除の交渉をしても良いのではないでしょうか。
ドレスショップの、衣装レンタルの流れと、キャンセル手順
ドレスショップで契約を結ぶまでの、一般的な流れはこのとおり。
- 来店予約
- 来店&試着
- 仮予約
- ドレス本契約(契約書にサイン)
- 契約金(申込金)の支払い
キャンセル料が発生するのは基本的に「ドレス本契約(契約書にサイン)」後ですが、注意すべき点を説明します。
仮予約中のキャンセル
気になるドレスがあっても、他のショップのものと比較したい場合は、仮予約しておくことができます。(仮予約ができないドレスショップもある)
ドレスショップによって異なりますが、仮予約の期間は1週間程度。仮予約したドレスを契約するかキャンセルするかは、仮予約期間内に必ず連絡をしましょう。
仮予約中のキャンセルなら、キャンセル料は必要ありません。
なおドレスショップによっては、仮予約するときに内金が発生することもありますが、仮予約期間内にキャンセルするなら、内金は戻ってきます。
本契約後から、キャンセル料が発生
ドレスが決まったら、契約書(申込書)にサインをして、本契約となります。
契約書にはキャンセル規定(いつから、いくらキャンセル料が必要など)が記載されているので、サインする前に必ずチェックしましょう。
契約した後にキャンセルする場合は、規定どおりのキャンセル料を支払うことになります。
Check!
ドレス代の支払いのタイミング
ドレスショップによって異なりますが、レンタル料の支払いは挙式前に済ませることが原則。主な支払いパターンは以下の3つです。
- 契約時に全額を支払う
- 契約時に内金を納め、挙式までに残りを支払う
- (ドレスショップが式場提携業者の場合)他の結婚式費用とまとめて支払う
契約後の衣装キャンセルの手順
もし契約後にドレスをキャンセルすることになったら、とにかく早めにショップに連絡をしましょう。
- キャンセルすることをショップに連絡する
- ショップからキャンセル料金と、支払い方法(口座振込など)を提示される
- 指定の方法でキャンセル料を払う
なお既にレンタル料や内金を支払い済みの場合、キャンセル料を差引いた額が、ショップから返金されます。
納得いかない!ウェディングドレスのキャンセル料とは?なぜ必要?
実際にドレスを着てもおらず、借りるのをやめただけで、キャンセル料を支払わなければならないのでしょうか?
そもそもキャンセル料とは、何のためのお金なのか調べてみました。
ウェディングドレスのキャンセル料とは
ウェディングドレスのレンタル契約を結ぶと、ショップ側は他の人が借りられないよう、ドレスをキープしてくれます。
もし新郎新婦側が契約後にキャンセルすると、ショップ側は本来得られるべきレンタル料(利益)を手にすることができなくなってしまいます。
これはショップにとっては損害です。契約解除(キャンセル)による損害賠償として、キャンセル料が発生するのです。
キャンセル料の請求は、法律で認められている
ドレスショップ側がキャンセル料を請求するのは、法律に基づいた行為です。たとえば民法415条では、以下のように定めています。
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。(後略)引用元:電子政府の総合窓口
債務者とは、ここでいうと新郎新婦です。債権者とは、レンタルショップを指します。
わかりやすく解説すると、新郎新婦が一度契約した衣装をキャンセルするなら(債務者による不履行)、レンタルショップは損害賠償(=キャンセル料)を請求できますよ、という意味です。
キャンセル料は、ドレスのレンタルショップが私腹を肥やすために請求しているものではなく、あくまでも損害賠償金としての意味合いで、それが法律でも認められているのです。
ドレスのキャンセル料が高すぎる!交渉の余地はある?
ショップ側にキャンセル料を請求する権利があるとしても、不当な金額を請求することはできません。
消費契約法9条1号では、キャンセルに伴う損害賠償金の、平均的な損害額以上のキャンセル料を定める契約は、無効としています。
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分引用元:電子政府の総合窓口
高額なキャンセル料の支払いができない、納得がいかないとき
キャンセル料が高すぎる…と思っても、「平均的な損害の額を超えるもの」かどうかの判断は難しいところです。
モヤモヤを抱えたまま結婚準備を進めるのはイヤですし、請求されるままに支払うのが納得いかない時もあるでしょう。
そんな時は消費者センターなどに相談してみることをおすすめします。
● 結婚式トラブルについての紹介ページ(国民生活センター)
● 消費者ホットライン(全国統一番号):188
ウェディングドレスはクーリングオフの対象になる?
ウェディングドレスに関しては、基本的にクーリングオフの対象になりません。
クーリング・オフとは、消費者がなんらかの契約をした後、一度頭を冷やして考え直し、無条件で一方的に解約できる制度のことを言います。
これは、訪問販売や電話勧誘販売に対するもので、ドレスのレンタルのように、自分で店舗に出向いて、じっくり考えたうえで契約したものは、基本的には対象にはならないのです。
ウェディングドレスのキャンセル トラブル事例
例1)キャンセル料が高額?
レンタル会社Aはドレスのキャンセル料を、契約後~挙式30日前までは、レンタル料金30%と一律で定めていた。(つまり、キャンセルしたのが契約翌日でも、挙式30日前でも、同じ金額を請求される)
消費者団体が「挙式のどれほど前から契約しても、挙式30日前までキャンセル料が一律で30%なのはおかしい」として、キャンセル規定の廃止を求め、裁判になった。
A社は消費者団体の訴えを全て認め、キャンセル規定の見直しを約束した。
(参考)貸衣装キャンセル料訴訟 業者が見直し約束|日テレNEWS24
例2)支払い翌日のキャンセル
挙式4ヶ月前にウェディングドレスのレンタル契約を結び、レンタル料全額を払ったものの、支払い翌日にキャンセルすることになった。
ショップ側にレンタル料金の返金を求めたところ、ショップ側は100%のキャンセル料(レンタル料全額)を請求できるとして返金を拒否し、裁判となった。
裁判では、契約から解約まで1日しかなく、それが理由でショップ側が不利益をこうむったともいえないと判断され、100%キャンセル料の請求を無効とした。
(参考)消費者契約法に係る裁判事例の収集及び分析(裁判事例概要・統合版) 34ページ
ウェディングドレスのキャンセルトラブルを避けるために、新郎新婦がやるべきこと
結婚式の準備で、キャンセル料を払う・払わないのトラブルは避けたいものです。
高額なキャンセル料を支払うのはつらいですし、何よりも嫌な気持ちになってしまうでしょう。
ドレスのキャンセルに関するトラブルを防ぐためには、新郎新婦自身が責任をもって、契約をする必要があります。
契約書をしっかり読み、理解する
ウェディングドレスのトラブルを避けるためにできることは、契約書をしっかり読み、納得したうえでサインすることです。
「書いてあることはよくわからないけど、みんなサインしてるなら大丈夫でしょ」など、何も考えないのはNG!
契約書の内容に不備が無く(妥当なキャンセル料が記載されているなど)、新郎新婦がそれにサインをしたのなら、消費者として契約内容をきちんと守る必要があります。
【ドレス契約前のチェックリスト】
- 仮予約で内金を払った場合、キャンセルしたらどうなるのか
- 支払いはいつまで?支払い方法は?(クレジットカード・口座振込・現金払い)
- 契約成立のタイミング(契約書にサイン後?支払い後?)
- キャンセル料はいつから、いくらかかる?
キャンセル料の説明が無かったなら、自分から確認しよう
キャンセルをする時になって、初めてキャンセル料のことを知るケースもあります。
契約書にサインをする書くまえに、疑問点はすべて担当者に確認しましょう。
「言った・言わない」を防ぐために、担当者が口頭で言ったことも、メモしておくようにします。
もちろん契約書や領収書の控えは、捨てずにとっておいてくださいね。
またドレスの試着して「これにする」と決めた後は、気分が盛り上がってしまい、キャンセル料の説明を受けても上の空になってしまうかも。
ショップに行く前に、ホームページなどでキャンセル料についてあらかじめ調べておくことをオススメします。
まとめ
- 結婚式の衣装は契約後にキャンセルすることができる
- キャンセルする時期によってはキャンセル料が発生する
- トラブルを避けるためには契約書をよく読み、納得したうえでサインするのが基本
結婚式のウェディングドレスは花嫁さんにとって大事なもの。運命のウェディングドレスを求めて、色々目移りしてしまうのも無理はありません。
ただ一旦契約を結ぶと、キャンセル料を支払う可能性もでてきます。安易にサインせず、内容をよく確認して契約を結んでくださいね。
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