結婚式のキャンセル料はいつからいくら?プランナー解説!【新型コロナ情報追記】
結婚式を楽しみにしている今、キャンセルについて考えることは必要のないことかもしれません。
しかし、身内の不幸や地震・台風などの自然災害、新郎新婦さま自身の病気などを理由に「やっぱり結婚式をやめよう」「他の式場に変更したい」と思うことはあり得ないことでしょうか。
もしもの時に備え、キャンセルに対して考えておくことも大切な準備の1つ。
そこで結婚式のキャンセル料について、元プランナーが解説していきます。
そもそも結婚式は、キャンセル(中止・延期)できる?
さまざまな理由から、結婚式を中止したいと思った場合、式場との契約をキャンセルすることは可能です。
しかし、キャンセルに伴ってキャンセル料が必要になるのが一般的。
多くの場合、キャンセルを申し出たのが結婚式の「何日前だったか」によって、金額が異なってくるため、契約した式場の約款や契約書を確認しておく必要があります。
また契約時に支払った、申込金(前金・内金)は返金されず、キャンセルを申し出た時点ですでに依頼したもの(招待状や引き出物など)の実費は、満額で請求されます。
そのためキャンセルしたい場合は、一日でも早い申告が望ましいといえますね。
<追記>新型コロナの影響で、結婚式を中止・延期したら?キャンセル料の可否
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、泣く泣く結婚式を中止・延期とするカップルが多くいます。
コロナで結婚式が中止・延期になった場合のキャンセル料については、下記のようにいくつかの対応がされており、式場により異なります。
- 日取りを延期して、同じ会場で結婚式を行うなら、キャンセル料なし
- 日取りを延期して、同じ会場で結婚式を行うなら、実費分のみ(すでに印刷してしまった招待状費用など)
- 通常通り(契約書通り)のキャンセル料を請求
キャンセル料は実質無料。柔軟な対応をする式場も多い
結婚式を延期して、同じ式場で別日で行うことが前提になりますが、特例として、キャンセル料を実質無料とする会場もたくさんあります。
すこし注意したいのが、「キャンセル料は、延期後の結婚式費用に充当する」という対応をする式場も多いという点。
たとえば新型コロナを理由に、結婚式の延期をした場合、一旦キャンセル料として50万円の請求がされます。
この50万円は、延期後、結婚式を行うときの費用から差し引かれるので、”実質無料”になる、という仕組みです。
のちのち、支払ったキャンセル料は差し引かれるとはいえ、数十万円ものお金をすぐに準備できないカップルもいるでしょう。結婚式の支払いに、ゲストからのご祝儀を充てようと考えている方も多いはず。
キャンセル料が全くかからない、延期後に充当、実費のみ請求、など様々な対応がされているので、式場にしっかりと確認を取る必要があります。
電話だけではなく、きちんと書面に残る形でキャンセル料の対応を説明してもらいましょう。
納得いかないときは、消費者センターに相談を
柔軟な対応をしてくれる式場がある一方で、通常通りのキャンセル料をきっちり請求する式場も。
ウェディングプランナーや式場スタッフの生活を守るためとはいえ、新郎新婦からしたら「高額なキャンセル料に、納得がいかない」というのが本音ですよね。
全国の消費者センターには、新型コロナによる結婚式中止・延期に関する問い合わせが多数寄せられているそうです。キャンセル料に納得がいかない場合、自分たちだけではなく、消費者センターなどに相談をしてみることをオススメします。
<消費者センター 問い合わせ先>
全国の消費生活センター等_国民生活センター
なぜ結婚式のキャンセル料を請求されるの?
まずキャンセル料とは何のためのお金なのか、国税庁のHPには以下のような説明があります。
いわゆるキャンセル料といわれるものの中には、解約に伴う事務手数料としての性格のものと、解約に伴い生じる逸失利益に対する損害賠償金としての性格のものとがあります。
結婚式を申し込んだ場合、会場側は他のカップルにその日にちを案内できなくなります。
式場側は「申し込んだ日程を、他の人に販売しないこと」を保証する代わりに、結婚式費用の一部を「内金(申込金)」として支払いを求めます。
しかし新郎新婦側の都合で、契約後にキャンセルすると、式場側は本来得られたであろう利益(売上)を得られなくなってしまいます。
他のカップルに会場を案内せずにキープしていたことに対して(損害賠償金)や、打ち合わせ・準備などに費やしたことへ(事務手数料)、キャンセル料(内金含む)を求めている、ということです。
イメージしやすい事例は、ホテルの宿泊予約です。
宿泊日から換算して決まった日程になるとキャンセル料が必要になりますよね。結婚式のキャンセル料もそれと同様です。
式場のキャンセル料の金額相場。いつからいくらかかるの?
まず式場のキャンセルを検討する場合、いつからどのくらいの費用がかかるのかをしっかり把握しておく必要があります。
多くの式場では、時期によってキャンセル料が異なるため、時期別にキャンセル料の一例をご紹介していきます。
- 仮予約中…無料(キャンセル料不要)
- 契約直後~101日前…申込金全額+実費
- 90日前~61日前…申込金全額+その時点での見積もり20%
- 60日前…申込金全額+その時点での見積もり50%
- 30日前…申込金全額+その時点での見積もり80%
- 10日前以降…申込金全額+その時点での見積もり100%
この金額は筆者の経験を元にした一例です。会場により取り決められた金額が異なるため、ご自身の申込書をもう一度確認しておきましょう。
なおこのキャンセル料に、消費税がかかるかどうか、クーリングオフができるかどうかなどは、記事後半で解説します。
結婚式のキャンセル料は交渉可能。ポイントは中止の理由
ここで、キャンセル理由について考えてみましょう。キャンセルを希望される理由として考えられる事柄は以下の通りです。
- 台風や地震などの自然災害
- 新郎新婦(もしくは家族)の持病悪化、病気が見つかったなどの体調不良
- 身内の不幸
- 予算の目処がつかない(つかなくなった)
- 破談(入籍済みの場合、離婚)
- 会場側に問題がある
ここで考えたいのは、次のどちらに当てはまるのか?という点です。
- どうしようもない理由
- 新郎新婦の自己都合
どうしようもない理由の場合:自然災害など(台風や地震)
台風や地震などの天災を理由に、やむを得ない事柄でキャンセルを求める場合は、必ずしも約款(契約書)通りのキャンセル料を請求されるとは限りません。
交通・ライフラインに被害があるほどの、重大な災害時は、会場側も中止も致し方ないとの解釈となるからです。
この場合は会場側に相談して、交渉を行うことも十分可能だと考えていいでしょう。
ただし、例え災害が理由の場合でも、会場側や新郎新婦自身に大きなダメージが無く、公共交通機関も正常に動いている(=現実的に、結婚式の実施が可能)のであれば、通常通りのキャンセル料を請求されることもあるでしょう。
「また災害が起こるかもしれない」「大雨だから嫌」「屋外演出ができなくなる」などの不安を理由にキャンセルする場合は、新郎新婦の自己都合とみなされる可能性が高いです。
新郎新婦都合の場合:離婚や式場変更、身内の不幸など
キャンセル理由が破談や離婚である場合、新郎新婦の都合によるキャンセルという扱いになります。この場合は、取り決められているキャンセル料をしっかり請求されることが多いです。
また身内の不幸や家族の病気などを理由に、結婚式を中止する場合も、新郎新婦都合と判断されることもあるでしょう。
ただし身内の不幸や病気などの場合、キャンセルではなく延期にすることで、高額なキャンセル料を回避できる問題かもしれません。(中止と延期で、キャンセル料が異なる場合があります。詳しくは記事後半で解説します。)
結婚式を中止するとき。一般的なキャンセルの流れ
キャンセルすると決めた場合、どのような流れで手続きが進むのかをご紹介します。
1)結婚式の中止希望の連絡をする
まず会場側に、結婚式をキャンセルしたいという意志を伝えます。電話でもメールでもOKですが、理由を伝えましょう。
申し出た日付や内容が書面に残りますので、まずはメールで伝え、さらに追って電話もすると確実に意思を伝えられますよ。
電話をしたときに、担当のプランナーにつながらなかった場合は、必ず電話口の相手の名前を聞いて控えておきます。こうすることで、「キャンセルの意思を言った・言われていない」というトラブルを避けることができます。
予算がない、不幸があったなどの理由ならば、中止ではなく延期することで、結婚式を実現できる可能性があります。
そのため会場側から、キャンセルしないで延期をするよう交渉を受けることもあるでしょう。希望によってキャンセルをせず、延期として踏みとどまることもキャンセル料を回避する1つの方法です。
2)キャンセル料の請求書を提示される
キャンセルすることが決まったら、式場からキャンセル料の請求書を渡されます。新郎新婦が訪問し、対面で請求書を提示されるほか、郵送などで届くこともあります。
このとき、請求書の内容と契約書の内容が合っているかを確認してください。
通常は、キャンセルを申し出た時期が早ければ早い段階の方がキャンセル料は少ないです。
契約内容と違う場合は、会場側に申告しましょう。会場側との意見が合わない場合や、キャンセル料に納得できない場合は消費者センターなどに相談することも可能です。
3)キャンセル料の支払い
提示された金額が契約内容と合っているなら、請求書に書かれている期間内にキャンセル料の支払いが必要です。
一般的にキャンセル料の分割払いを認めている会場は少ないですが、大きな金額で払えない状況も考えられます。
その場合は会場側に相談し、分割できるのかを確認して下さい。特例など認めてもらえる可能性もあります。
また請求書を無視し、キャンセル料を払わなかったら最悪の場合訴えられることもあるため、契約内容に準じて支払いを進めてください。
結婚式のキャンセル料の金額に納得できないとき
やむを得ない理由で、結婚式自体を中止したり、会場を変更したりすることもあるでしょう。
自分たちの勝手な都合で中止・変更したので、キャンセル料の支払いは仕方ない…とわかっていても、金額が高すぎる!と思うカップルもいるでしょう。
「キャンセル料が高額で支払えない!」「踏み倒すつもり」「式場が悪いから支払いたくない」など、キャンセル料の金額に納得がいかないときに考えることをまとめました。
会場側に非がある場合もキャンセル料が必要?
- プランナーと連絡が取れない
- プランナーのミスが多すぎる
- 当初聞いていた内容と話が全然違う
など、会場側との信頼関係が築けなくなる等のトラブルで、式場をキャンセルをしたいと思うこともあるでしょう。特に「言った言わない問題」は信頼関係を損なう原因になることが多いです。
しかし残念なことに「結婚式をしないという判断は、新郎新婦が決めたこと」と、自己都合と判断されてしまう可能性もあることも確か。
新郎新婦は契約書面の内容を理解したうえで、式場の申し込みを行うはずなので、理由はどうあれ、キャンセル規定についても双方の合意の上だとみなされます。
一方的にキャンセル料の支払いを無視し、踏み倒すことはできないと考えられます。
なおこの場合、キャンセルして他の式場に変更するのではなく、プランナーを変更することで問題がクリアになることも多いため、会場側に相談してみましょう。
消費者センターへの相談も検討して
式場側がミスをしたり、説明されてないないお金を請求されたり、キャンセル料の支払いにどうしても納得がいかない場合、消費者センターに相談してみるのもひとつの方法です。
結婚式のキャンセルに伴う相談は数多く寄せられているようで、過去の事例や対処法を教えてもらえるでしょう。
そもそも契約書面に記載されている、キャンセル料の金額や条件などに不備があれば(消費者契約法第9条の定める内容から明らかに逸脱しているなど)、減額などの交渉を進められるかもしれません。
必ずしもキャンセル料が減額されるわけではありませんが、どうしても払いたくない・納得がいかないときは、話だけでも聞いてもらいましょう。
トラブルになってからでは遅い!結婚式トラブルへの備えとは-「キャンセル料」「打合せ不足」に関するトラブルが後を絶ちません-(発表情報)_国民生活センター
結婚式はクーリングオフできないの?
クーリングオフは、主に訪問販売や電話勧誘販売に対して成立するものです。
結婚式場の契約の場合、自分自身が式場見学やフェアに出向くことや、契約前にもじっくり考える事が可能であるため、基本的にはクーリングオフの対象になりません。
そのため契約後、早期のキャンセルであれば、クーリングオフの対象となりそうですが、結婚式のキャンセルでは適応されないことを理解しましょう。
クーリング・オフとは、契約をした後、消費者に冷静に考え直す時間を与え、一定期間であれば無条件で契約解除ができる制度です。
(中略)
訪問販売や電話勧誘販売などの不意打ち性の高い取引やマルチ商法、内職商法などの複雑な取引については、申込みや契約をした後一定期間消費者が頭を冷やして考え直し、無条件で一方的に契約を解除することができる制度があります。これをクーリング・オフ制度と言います。契約の原則の例外ですから、すべての取引にこの制度があるわけではなく、法律や約款などに定めがある場合に限られます。自分から店に出向く店舗での購入やカタログやネット画面を見て申込む通信販売は、じっくり考えてから契約を決めることができますので、クーリング・オフの対象外です。
キャンセル料にも消費税がかかってくるの?
キャンセル料に消費税がかかると、支払額も大きくなってしまいます。そのため、「キャンセル料にも消費税がかかるのか」とお悩みのこともあるでしょう。
式場側が用意している約款や申込規約などには「見積もりの◎%+実費」など、キャンセル料について明記があるのが一般的です。
ところが式場によって、消費税のことついては明記されていない場合があるため、消費税が含まれるのかそうでないのかが不明瞭になっているのも確かです。
先に引用した国税庁のHPによると、キャンセル料には「事務手数料」としての意味合いのものと、「損害賠償金」としての意味合いのものがある、とのことでしたね。
まず事務手数料の部分に対しては、消費税がかかります。一方損害賠償金の部分に対しては、消費税がかからないことになっています。
ところが、式場のキャンセル料については多くの場合「事務手数料」と「損害賠償金」を区別せずに、『見積額の◎%』と記載されているのではないでしょうか?
このような場合はキャンセル料を不課税とする、と国税庁のHPで説明がされています。
ゴルフ場の予約をキャンセルした際に受領するキャンセル料などで、事業者がその全額について事務手数料に相当する部分と損害賠償金に相当する部分を区分することなく一括して受領しているときは、その全額を不課税として取り扱うこととされています。
ただしすでにご紹介したとおり、各式場事によって、約款の書き方が異なります。
キャンセル料にも消費税がかかっているな、と思った場合は式場に一度確認をしましょう。
またすでに、手配済の実費(招待状や引出物セットなど)については、消費税込みの総額を支払うのが通常です。
結婚式のキャンセル料に対してのQ&A
よくある質問を元に、キャンセルに対してのQ&Aをまとめました!
中止の場合と延期の場合で、キャンセル料は違うの?
会場側の決まりとして、結婚式を中止にする場合のキャンセル料とは別に、延期の場合の日程変更料を設けていることがあります。約款や申込書に記載があるため、確認しておきましょう。
また延期の場合、日程変更料は設定していない場合もあるため、契約書に記載がない場合は担当者に確認しておくと安心です。
ゲストがドタキャンしたら?1人分(欠席ゲストの人数分)のキャンセル料が必要?
ゲストのドタキャンに伴ってキャンセル料を求められることはありません。
しかし、ゲストひとり分の食事代金やドリンク代金、席札や席次表の代金は請求されます。
例えばゲストひとりにかかった金額(料理やドリンク、ペーパーアイテム等の代金)の合計額が2万円の場合は、2万円以上を請求されることはありません。
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キャンセル料の交渉はできる?
どのような事柄をキャンセル理由としても、金額交渉は可能です。しかし、式場側が交渉を受け入れるかどうかはキャンセル理由により異なってきます。
災害などの「どうしようもない理由」であれば、交渉に応じる可能性も十分に考えられますが、破談などの新郎新婦都合でのキャンセルである場合、交渉を受け入れてもらえない可能性は高いです。
キャンセル料を払いたくない、踏み倒したいと思う気持ちも分かりますが、契約内容に準じて支払いを求められることを理解しましょう。
結婚式のキャンセル料は、新郎・新婦どちらが負担する?
キャンセル料を誰が負担するのかは、ご両家によってさまざまかと思います。
破談を理由に結婚式を中止した場合、離縁するきっかけになった側が支払う事もあれば、お二人の問題として折半されることもあるでしょう。
また結婚式の支払いを新郎側7割、新婦側3割と負担することが決まっているのであれば、キャンセル用もその割合で支払う事もあるのではないかと思います。
結婚式の中止で高額なキャンセル料の支払いを防ぐためにできること
契約した結婚式をキャンセルすることは、思っている以上に労力がかかります。そのためには、キャンセルしないように申込みを進めることが何より大切です。
ブライダルフェアなどで即決しない
キャンセルしたいと思う原因の一つに、「ブライダルフェアで契約を迫られ、断れずに申し込んでしまった」という事例が少なくありません。
長時間の勧誘をしてくる会場側にも問題がありますが、希望と相違があるのであれば、きっぱりと断り、勧誘に負けない心を持つことも大切です。
気になったことは質問する
疑問に思ったことは、その場で確認してください。「契約書を見ておいてくださいね」と言われても受け流さず、その場で一緒に、契約書面の内容を確認するようにしてください。
結婚式は高額なお金がかかることですから、見積もりに疑問を感じた時は、この料金はなぜ必要なのか、いくら必要なのかなど細かく確認しておきましょう。
また言った言わない問題を防ぐためにも、打ち合わせ内容はメモしてプランナーと共有することが大切です。
結婚式のキャンセル料を保障するブライダル保険がある
思いもよらない理由での結婚式キャンセルや延期に備え、ブライダル保険に入るのも一つの方法です。
ブライダル保険では、新郎新婦自身の入院や身内の不幸などでの延期・キャンセルに伴う料金に対し請求できるだけでなく、結婚式当日にゲストが起こしてしまったトラブルにも対応してくれます。
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まとめ
- 時期によりキャンセル料が異なるため、判断は早いほうが負担が少ない
- 理由により、キャンセル料の交渉ができることもある
- キャンセルしないためにも、不安はクリアにし、勧誘にまけない心をもつ
結婚式のキャンセルについてまとめました。万が一のために、キャンセルに対しての知識を付けておくことは必要です。
通常契約時に細かく説明を受けますが、中には説明がない場合もあります。
このときも「プランナーから説明がなかった」と思うのではなく、新郎新婦主導でどんどん質問していきましょう。あくまでも自分たちの結婚式です。全てをプランナー任せにしないことも大切です。
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