婚姻届の証人選びの基礎知識。20歳以上の2名ならだれでもOK
婚姻届を提出するためには、ふたりの結婚を認める「証人」のサイン(署名)が必要です。
「証人」と聞くと、少し身構えてしまいますが、サインをすることでなにか責任や義務が生じるということは基本的にはありません。
証人の条件や役割や、誰にどう頼んだらいいかをまとめました。
婚姻届に必要な、証人とは?
婚姻届の証人とは、「新郎新婦がお互いに結婚する意思があること」を証明してくれる人を指します。
民法で、婚姻届を提出するときは成人済みの証人ふたり以上が署名していないと受理されない、と決まっています。
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
なぜ証人を立てる必要があるの?
証人を立てるのは、2人のうち一方には結婚する気がないのに、もう一方が勝手に婚姻届を提出したり、偽装結婚されるといったことを避けるため。
第三者に「この2人は、お互い同意の上で結婚します」と証明してもらうことで、婚姻届の悪用を避けることが目的です。
婚姻届の証人になると、リスク・義務は発生する?
婚姻届の証人になったからといって、責任や義務が発生するわけではありません。
証人は、婚姻届の悪用を防ぐためのもの。
賠償の責任がある「保証人」とは違って、婚姻届の「証人」は、あくまでも「2人が自分たちの意思で婚姻する(詐欺などではない)」という事実を証明する役割です。
なかには結婚する2人が借金を踏み倒したら証人が払う、2人が離婚したら責任を負う…などと勘違いして、証人を断る人もいるかもしれません。
証人をお願いする際には「責任や義務はない」ことをしっかり説明してくださいね。
婚姻届に必要な、証人の条件・人数
最初に証人の条件、決められた人数をチェックしておきましょう。
証人の条件は20歳以上で、結婚を認めていること
証人になってもらうための条件は以下の2つです。
- 成人(20歳以上)であること
- ふたりが婚姻することを認めていること
この条件を満たせば、外国人でも証人になってもらえます(出身国の法律で成人していることが条件)。
証人は何人必要?
民法の定めでは「二人以上」となっていますが、実質2人。
婚姻届の記入欄も2人分になっています。
証人を3人以上にお願いしたい場合
婚姻届の証人欄は2人分のみ。
「どうしてもこの3人に!」など、強いこだわりがある場合、3人目以降の証人は、枠外に署名&押印・住所・本籍地を書いてもらいましょう。
証人は新郎側と新婦側それぞれ1人ずつでなくてOK
証人は2人以上と決まっていますが、その組み合わせは自由です。
新郎側と新婦側から1人ずつ、という決まりはないので、どちらか一方の家族・知人2人に証人になってもらっても問題ありません。
証人欄の書き方も、左右どっちに夫側、妻側の証人を書くという決まりはありません。
誰が多い?誰にした?婚姻届の証人の人気ランキング
証人の条件は、成年で2人の結婚を認めている人。
条件の幅が広いので、かえって誰にお願いしていいか迷ってしまいますね。
他の花嫁さんたちは、誰に証人をお願いしているのでしょうか?
証人は両親が圧倒的に多い、親以外に友人も
ゼクシィによると以下の人たちに証人をお願いしたという結果がでています。
- 新郎の父(56.3%)
- 新郎の父(55.3%)
- 新婦の母(26.2%)
- 新婦の母(24.3%)
- 友人(11.7%)
2人の両親にお願いしたケースが圧倒的に多く、新郎父&新婦父の組み合わせにするのが一般的なようですね。
(参考)[婚姻届の証人]誰に頼む?~親、上司、友人etc.お願いするときのポイント~
死亡している人は証人になれない
「他界した親に結婚を見守っていてほしい」という思いをもっている花嫁さんもいるかもしれませんね。
でも、死んだ人に証人になってもらうことはできません。
そもそも、証人は代筆が認められていないので、気持ちを切り替えて、他の人にお願いしましょう。
婚姻届の証人サイン 頼み方のマナー
証人を誰にお願いするかによって、依頼の方法は少し変わってきます。
ただ、誰に頼むとしても以下の点は抑えておきましょう。
- 証人の欄以外はすべて記入しておく
- 証人欄に付箋をつけておく
- 見本や記入例を用意しておく
父親・母親
父親(母親)は、会った時に「証人になって」と、気軽にお願いして問題ありません。
なお両家から1人ずつではなく、新婦父&新婦母など、どちらか片方だけにお願いする場合は、もう一方に断りをいれておくのが無難です。
兄弟姉妹・祖父母
実の父母よりも身近な存在だったり、恋人同士の頃から応援してくれたなどの理由で、祖父母や兄弟姉妹に証人をお願いするパターンもあります。
もしも両親以外の家族や親戚へ証人を頼むなら、まずは両家の父母へ伺いを立てておいて。
一般的には親が証人になるので、両親以外の人が証人になるのはおかしいなど、もめごとになるかもしれないんです。
友達
2人の縁結びをしてくれた、理想の夫婦だから、お互いに証人になることを約束しあったという素敵な理由で、友人にお願いする新郎新婦も。
友達に頼む場合、証人になってもらうと決めた時点で依頼をしてください。
会ったときに突然「証人欄を書いて!」と言っても、その場で正しい本籍を書けて、かつ押印できる人はほぼいません。
署名のため本籍地を調べてもらったり、印鑑を用意してもらったりと、準備に時間が必要なんです。
上司・仲人
世話になった上司や仲人にお願いするケースもあります。
目上の人にお願いする時は、段取りを踏んでお願いをしましょう。
何かのついで、ではなく、署名してもらうために時間を割いてもらいます。まえもって直接会うか、電話やメールで依頼しましょう。
もし断わられたら、無理強いせず、他の人にお願いして。
家族以外に承認をお願いする時の段取り
家族以外の人に証人をお願いする場合は、失礼のないように。
以下のような段取りで進めてくださいね。
- 証人になってほしいことをお願いする
- 住民票(戸籍謄本)記載の氏名・住所・本籍地・捺印が必要なことを説明する
- OKならアポイントをとる
- 手土産を持参して約束の時間に伺う(上司や仲人なら自宅に)
- 証人にサインをもらう前に、記入できるところは埋めておく
- 証人本人から署名と捺印をもらう
- 婚姻届を提出したら、報告と御礼の連絡を入れる
手土産は必要?
上司や仲人など目上の方など、わざわざ時間を取ってもらって、証人サインをしてもらうなら、手土産はぜひ持参したいところ。
仲の良い友人や兄弟なら、食事をごちそうしたり、新婚旅行のお土産を用意するという程度でOKでしょう。
親に証人になってもらうときは特に用意する必要はありませんが、時間を割いて証人欄を書いてくれるわけですから、手土産があると丁寧な印象になりますね。
婚姻届の証人がいない!なしでも受理される?
証人がいないと婚姻届は受理されません。
親に結婚を反対された、転勤したばかりなど、証人をお願いできる人がいない場合の対応策を紹介します。
これはNG!架空の人を書く、偽名を使う、嘘をつく
証人となる条件は成人していて、2人の結婚を認めている人。
架空の人をでっちあげたり、偽名を書くのはNGです。
そもそも証人署名は本人の直筆と決まっていて、代筆が認められていません。
証人は役所の人、知らない人でもOK?
証人の条件が「成人していて2人の結婚を認めている」という幅の広いものであっても、見ず知らずの人にいきなりお願いするのは、ちょっと寂しいですよね。
婚姻届の手続きに慣れた役所の人に引き受けてもらえたら安心ですが、実際には無理でしょう。
もし頼む人が見つからなかったら、これから縁を深めていくという視点で、改めて証人を探してみて。
転勤したばかりであっても、思い切って職場の同僚や上司にお願いしてみましょう。
新居の大家さんにお願いしたカップルもいます。
最後の手段は証人代行サービスへの依頼
行政書士などが行っている証人代行サービスを利用する方法も。
料金設定はまちまちですが、証人2名分で15,000円~20,000円程度です。
証人に署名してもらうタイミングはいつ・どんなふうに?
結婚前は準備することがたくさんあるので、署名もスムーズにお願いしたいですね。
顔合わせ食事会などで
両家の親が一同に会する食事会や結納の席で、両親に署名・捺印をしてもらうのが最もスムーズな方法。
皆が見ている前で親に署名してもらうことで、結婚への気持ちが高まりそう。
なお事前に証人についてお願いしておくことは、忘れないでくださいね。
手紙で頼む(婚姻届を郵送する)なら書留で
直接会うのが難しい場合は、婚姻届を郵送して、送り返してもらいます。
普通郵便には追跡機能が付いていませんので、万一のため、簡易書留で送るのがオススメ。
送り返してもらうまでに時間がかかるので、遅くとも提出日の2週間前までには郵送しておきましょう。
封筒内に手紙を添えて説明をする、署名欄に付箋を貼る、返信用封筒を用意するといった気配りもマストです。
【婚姻届の署名を頼む、手紙例文】
拝啓 夏の疲れが出やすい頃となりました。お身体にお変わりないでしょうか。
さて、先日電話でお話しましたとおり、○○様には入籍届の証人として、ご署名をいただきたくお願い申し上げます。
つきましては必要書類一式と返信用封筒を同封いたします。署名捺印の上(付箋をはってある部分です)ご返送いただければ幸いです。
本来なら直接お目にかかり、お願いするところですが、お手紙で失礼いたします。ご不明な点は、ご連絡ください。
時節柄ご自愛くださいませ。敬具
【手紙に同封するもの】
- 婚姻届(証人欄以外は記入しておく)
- 記入例
- 返信用封筒(切手をはる、簡易書留にするなら基本料金にプラスして310円分必要)
婚姻届の証人欄 書き方と注意点
証人欄の書き方を具体的に説明します。
不備があって、婚姻届が受理されなかったなんて残念な事態は避けたいもの。証人には記入してもらう内容をきちんと説明しておきましょう。
実際にお願いする時は、見本や記入例も忘れずに持参して。
署名・本籍地・住所の書き方
証人に書いてもらうのは、署名・生年月日・本籍地・住所です。
【署名欄】
氏名は住民票や戸籍謄本に書いてある通りに書く
印鑑はシャチハタ不可。夫婦に承認を頼む場合も、別々の印鑑が必要
【生年月日】
「昭和」などの和暦で記入
【本籍地】
戸籍謄本や住民票に記載されている本籍地を記入
【住所欄】
住民票に記載のある正確な住所を記入
【捨印】(前もって押してもらう訂正印)
婚姻届を提出する際に不備が見つかったとしても、捨印があれば訂正可能
代筆はNG!本人が書くのが決まり
婚姻届の場合、署名は本人のみと定められているので、代筆はNGです。
「両親から承諾はもらっている」「遠方に住んでいるから」のなどの理由で、婚姻届を出す妻や夫が勝手に証人欄に書いてはいけません。
外国人に証人を頼む場合
出身国の法律上成人していれば、外国人でも証人になってもらえます。
基本的には本人に書いてもらいますが、自治体によっては、一部代筆を認めているところもあります。
事前に問い合わせてみるといいですね。
もし、証人欄を間違えてしまったら?
間違えた部分を二重線で消して、枠内の余白部分に正しい内容を記入、枠外の余白に捺印するのが正しい訂正方法。
修正テープや修正液を使って上から書き直す方法はNGで、受理してもらえません。
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まとめ
- 婚姻届の提出には証人が必要
- 証人は2人の婚姻を認めてもらうだけなので、義務や責任は発生しない
- 外国人でも証人になれる
- 新郎新婦の父親母親に証人になってもらうケースが多い
- 証人の欄は本人以外の代筆は認められていない
婚姻届の証人選びについてまとめました。
誰に証人をお願いするとしても、書いてもらう内容をきちんと把握しておくことは必要。
書く内容を的確に説明をしたうえで、スムーズに署名・捺印をもらえるよう心がけてくださいね。