両家で揃える!結納の服装と身だしなみマナー。出席者別に具体例で解説

婚約を両家の公のものとする結納。
最近は形式ばらない、カジュアルなスタイルの結納も増えていますが、やはり伝統的な儀式なので、服装にはある程度決まりがあります。
結婚する本人だけでなく、両親や仲人が何を着るかも気になりますね。
結納のパターンに合わせて、出席者別に着るべき服装を説明します。
あわせて、服装選びで守るべきマナーや身だしなみの注意点も紹介します。
結納の服装は「正礼装・準礼装・略礼装」両家で揃える
結納のように正式な場では、その場にふさわしい「格」の服装を選ぶ必要があります。
格とはフォーマル度の高さのようなもの。
結納にふさわしい格は、次の3つ。上から順に格調高い、とされています。
● 正礼装(フォーマル)
男性:五つ紋付羽織袴/モーニング
女性:振袖(未婚)・黒留袖(既婚)・五つ紋付き色留袖/アフタヌーンドレス
● 準礼装(セミフォーマル)
男性:紋付袴(一つ紋、三つ紋。羽織は無くても)/ディレクターズスーツ・ブラックスーツ・ダークスーツ
女性:色留袖/ワンピース・アンサンブル・スーツ
● 略礼装
男性:ブラックスーツ・ダークスーツ
女性:訪問着・付け下げ・色無地/ワンピース・アンサンブル・スーツ
ただし最近は正礼装はめずらしく、準礼装や略礼装のほうが主流です。
必ず守らなければならない決まりはないので、両家と仲人で格をそろえればOKです。
Column
アフタヌーンドレスとは?
アフタヌーンドレスとは、上品で改まった感じのワンピースやスーツのこと。
肌の露出は少なく、袖は長め。スカートはギャザーやフレアが入ったややAラインのもの。
スカート丈は膝より下の、ミディ丈~ロング丈が基本です。
服装選びのポイントは、両家で格をそろえること
大事なのは男性側と女性側の両家で、服装の「格」を揃えること。
両家で事前に打ち合わせをして、結納当日に服装の格がバラバラにならないように注意しましょう。
また新郎新婦と両親だけじゃなく、仲人の服装もそろえるように。
新婦は振袖を着て、華やかに
両家と仲人で服装の格をそろえるのがマナーですが、結婚する女性本人(新婦)だけ、振袖を着て出席する場合もあります。
本来振袖は、未婚女性の最も格式高い服装の「正礼装」となりますので、他の出席者が準礼装以下だと格が合いません。
でも振袖はなんといっても華やかですし、結婚すると着ることができなくなります。
最後の機会として、結納の席で振袖を身に付ける人が多いんですよ。
結納の服装マナー【正式結納】
最も格が高く、仲人が両家を行き来する正式結納では、正礼装が基本です。
男性なら、五つ紋付羽織袴かモーニング、女性は振袖や黒留袖、五つ紋の色留袖かアフタヌーンドレス。
ただ実際には、正式結納であっても、新婦が振袖以外の正礼装を選ぶことは少ないようです。
- 新郎:五つ紋付羽織袴
- 新婦:振袖
- 父親・仲人:五つ紋付羽織袴
- 母親・仲人夫人:黒留袖、五つ紋の色留袖、アフタヌーンドレス
結納の服装マナー【略式結納】
仲人のいないカジュアルな略式結納では、準礼装が基本。
男性はブラックスーツか、紺やグレーのダークスーツ。
女性は振袖を着る場合もありますが、ワンピースが多く選ばれています。
- 新郎:ブラックスーツ、ダークスーツ
- 新婦:振袖、訪問着、キレイめで黒以外のワンピースやスーツ
- 父親・仲人:ブラックスーツ、ダークスーツ
- 母親・仲人夫人:訪問着、付け下げ、色無地、黒以外のワンピースやスーツ
結納の服装マナー【カジュアル・顔合わせ食事会】
あまりかしこまらない雰囲気の結納や食事会を行うなら、男女ともにキレイめな服装を意識すればOK。
ただカジュアルすぎる服装は避けて、男性なら最低限ジャケットは羽織ったほうがいいですね。
両家とも父親はフォーマル度の高い服装が好ましいので、ダークスーツ以上のフォーマルウェアがオススメです。
カジュアルな集まりにする場合でも、服装については両家で必ず相談して、格をあわせるのが基本です。
- 男性:スーツ、ジャケット&パンツ(ネクタイはなくても可)
- 女性:キレイめワンピース、スーツ、セットアップ
- 父親:ダークスーツ
【色&デザイン】女性のワンピースやスーツの選び方
正礼装・準礼装・略礼装、といっても、持っていない人からすると、どんな服装なのかいまいちわかりにくいもの。
また最近では、結納と言っても食事会を兼ねたカジュアルなスタイルが主流なので、さほど服装に気を使わない家も多いです。
そのため女性の服装は、ワンピースなどキレイめカジュアルなスタイルが主流。
● OKな服装
- 明るめの色(落ち着いたベージュやパステルカラー)
- スカート丈はひざ下。ミモレ丈やロング丈
- 会場が和室の場合は、フレアスカート(タイトスカートは座りにくい)
● NGな服装
- 黒色、真っ白、ビビッドカラー
- 膝上(ミニ丈)のスカート
- ダークカラーのパンツスーツ
女性のパンツスーツ(ダークカラー)はビジネスライクな印象を与えるので、避けた方が無難です。
スーツなら、ベージュなど明るい色合いがおすすめ。
ジャケット&パンツのセットアップに、ネックラインが少し開いたトップスを合わせるなど、大人の女性らしい服装がおすすめです。
色は、お葬式を連想させる黒は絶対にさけて。結納の席で黒が許されるのは黒留袖だけです。
結納の服装を選ぶ時の、基本マナー
実際に何を着るか選ぶ時に、どんなことに気をつければいいかをまとめました。
両家や家族内で、洋装と和装は合わせたほうがいい?
服装の格がそろっていれば、和洋が混ざっていてもOK。
新婦が和装で新郎が洋装、新婦が和装で母親が洋装でも、マナー違反にはなりません。
ただ例外的に、結婚する女性だけが正礼装である振袖で、その他の出席者が準礼装というパターンはあります。
振袖を着る場合は、男性側にも事前に伝えたうえで、格をそろえるようにしましょう。
結納を行う会場の「格」も考えて服装選びを
略式の結納を行う場合でも、会場として高級ホテルや格式ある料亭を選ぶなら、カジュアルな装いはマナー違反。
やはりセミフォーマル以上の服装を選びましょう。
逆に女性の自宅で結納を行う場合は、女性は準備などで立ち働くので、動きやすいワンピースのほうがおすすめ。
年齢に合った服装選びも大切
20歳代と30歳代ではフォーマルフェアの選び方が違ってみます。
30代ともなればかわいいだけじゃなく、きちんとした大人として品のある装いが求められるもの。
フリルやレースをたくさんあしらったガーリーなものは、ちょっとふさわしくありませんね。
とはいえ華やかな結納の席なので、地味な色でまとめてしまうのもちょっと残念。
リボンなどをポイント使いしているシンプルなデザインにして、色は明るめを選ぶなどの工夫を。
振袖は何歳まで着てOK?30代でも結納で着る人はいる?
振袖は未婚の女性が身につける正礼装なので、何歳まででも着てOK。
ただ現実的には30歳を超えても着てもいいのか?と悩んでしまいますね。
30代で振袖を着て結納を行う女性はもちろんいます。
成人式で着たものが少し恥ずかしく感じるなら、帯や帯揚げ、帯締めなどの小物を大人っぽい色にしてみては?
着物でもアクセサリーはつけていいの?
礼装として和服を着る時は、イヤリング、ネックレス、ブレスレットといったアクセサリーや腕時計は基本的にNGですが、既婚女性が結婚指輪をするのはOK。
ピアスはその日だけは外していくのが無難ですが、小さくて耳にぴったりとつくデザインなら大丈夫でしょう。
単に礼装するだけじゃダメ!身だしなみチェックリスト
結納当日どんな服装を身に着けるにしても、相手に失礼がないように、細かいところまで身だしなみをチェックしましょう。
気を付けることを男女別に説明します。
ズボン、スカート
結納にふさわしい服を選んでも、シワが目立つとだらしない印象になります。
ズボンはぴしっと、センタープレスをかけていきましょう。
シャツ、ネクタイ
ブラックスーツやダークスーツに合わせるシャツは、白が基本。
薄いストライプが入ったものや、白に近いブルーでもOKですが、鮮やかなカラーシャツは不向きです。
ネクタイは、ブラックスーツなら白かシルバー。ダークスーツならストライプや青・エンジなど、明るめの色を選んでもOKです。
靴、靴下
男性の正装に合わせる靴は、紐付きの黒が無難。
靴下はスーツの色に合わせて、黒やグレーの無地を選びます。
なおくるぶし丈の靴下はNG!ズボンの裾から足が見えないように、ふくらはぎまでの長さがある靴下をはきましょう。
和室などで靴を脱いであがるシチュエーションを考え、つま先やかかとが擦り切れていないか確認を!
女性は洋装なら、季節に関係なくストッキングとパンプスを履きます。
素足のままだったり、ブーツやサンダル、スニーカーをはくのはもちろんNG!
ストッキングにしても和装で足袋をはくにしても、予備は必ず準備しましょう。
バッグ
男性は手ぶらでも構いませんが、バッグを持っていくならビジネスバッグはさけ、小さめのクラッチバッグがおすすめです。
女性は洋装なら、派手でいかにも高価なブランドバッグはNG!「金遣いが荒い?」と思われてしまうかも。
小振りで上品な、ハンドバッグかクラッチバッグを選びましょう。
和装の場合は、草履とセットで選んで。
アクセサリー
洋装の場合は、パールなど上品なものを身に着けて。
和装の場合は、ネックレスやブレスレット、時計は外すのが基本です。
男性も和装をするなら時計はしないで行きましょう。
新婦の婚約指輪は、身に着けていってもいいですし、結納品に含めて飾ってもOKです。
メイク、ネイル、香水
メイクやネイルは派手になり過ぎず、ナチュラルなものにして。
和装でもネイルをしてもOKです。服装に合わせてコーディネートしましょう。
香水は必要最低限にとどめましょう。
季節別!結納時の服装で気を付けること
季節によって礼装を身に着けるうえでの注意点も違ってきます。
暑い寒いに関係なく、マナーを守って相手を不快にさせないことが大事。
春夏の服装で注意すること
気温の高い季節とはいえ、伝統時な儀式である結納の席では、カジュアルすぎる服装はNG。
暑くても男性がジャケットを脱いだり、袖をまくったりするのはマナー違反。
女性はノースリーブはNG、七分袖か半袖の袖のものを選んで、肌の露出を避けましょう。
大きく襟ぐりが開いたものも相応しくありません。
暑くてもストッキングを必ず履きましょう。
秋冬の服装で注意すること
寒い季節でもスーツの中にニットベストやセーターは着用せず、肌着で調節したほうがすっきり見えます。
コートなどの上着は、女性宅で結納をする場合は玄関に入る前に脱いでから家に上がります。
ホテルや料亭などで結納をする場合は、屋内に入った時点で脱ぎ、クロークなどに上着を預けておくのがスマート。
女性の場合、寒くても黒タイツはNG、ストッキングをはきましょう。
男女別!結納にふさわしい、清潔感のある髪型
髪型も服装と同じくらい、相手に与える印象を左右する要素です。
気を付けることを男女別にまとめました。
男性は数日前までに散髪を。シェービングもおすすめ
やはり大事なのは清潔感。女性側の両親に敬意を表すという意味でも、派手な茶髪や長髪は避けたほうが無難です。
結納の数日前までに、美容院や床屋さんで散髪をするのがオススメ。
もちろん髭も丁寧にそりましょう。
おしゃれでひげを生やしている男性も、この日ばかりは剃ることをオススメします。
どうしても無理な場合でも、お手入れだけはきちんと。
一生に一度の大事な結納に備えて、理容室でお顔そり&髭のお手入れをしてもらうのもおすすめです。
理容室・床屋で行う「メンズシェービング」のメリット(うる肌シェービング)
女性は和装でも洋装でも、アップスタイルが好感度大
女性も清潔感が大事なので、明るい茶色や派手なヘアスタイルは避けて。
お辞儀をする場面や、その後の食事会のことも考えて、肩よりも長い髪はくずれないようにまとめるか、アップにすることが基本。
和装の場合、成人式のようなゴージャスな盛り髪はふさわしくありません。
すっきりとした上品なアップスタイルが好印象。
洋装の場合も、アップスタイルにすると、清潔感があるさわやかな印象になります。
ダウンスタイルの場合は、お辞儀をするときに前にたれてこないようにハーフアップにしたほうが無難。
美容院でセットしてもらう時は、結納であることを必ず伝えましょう。
婚約指輪をあらかじめつけてお披露目してもOK
結納より前に婚約指輪をもらっていたら、目録に加えたうえで当日身に着けていってもかまいません。
結納の前にいったん男性側に返し、当日贈り直してもらう方法もあります。
いずれにしても、結納の席では必ずお披露目をすると、盛り上がりますよ。
両親のほか兄弟姉妹、親族が結納に出席するときの服装
兄弟姉妹や祖父母が結納に出席する場合は、本人や両親より格下の服装を選ぶのが基本。
例えば、男性本人がブラックスーツなら、兄弟はダークスーツ。
結婚する女性が振袖なら、姉妹は格下にあたる訪問着や、黒以外のワンピースにします。
格だけでなく、色味やデザインも結婚する本人よりは控えめに。
まとめ
- 結納の服装で大事なのは、両家の格をそろえること
- カジュアルな結納も多く、男性はブラックスーツかダークスーツ、女性はワンピースやスーツでOK
- 他の出席者が準礼装でも、新婦だけ振袖を着ることも
- 年齢や会場の「格」を考えた服装選びも大事
- 結納当日には身だしなみのチェックも忘れずに
結納の服装には決まりがありますが、大事なのは両家の格をそろえることと、結婚する相手の家に失礼のないようにすること。
マナーを守って、大切な婚約の儀式を迎えてくださいね。